|
2005/10/30(日)
「東京奇譚集」
|
|
|
村上春樹の新作です。
「村上春樹ワールド」だな、というのが第一印象でした。 あり得ないことが極普通の日常の中にひっそりと潜伏する。 どこまでが日常で、どこまでが非日常なのか、その境界線の見極めがつかなくなっていく。読んでいる方は遊んでいるのか遊ばれているのか、それすらも分からなくなっていく…
最初は買う気なかったのです。 この薄さで1400円は高い、文庫になるかブックオフに落ちるのを待とう、と。でも第一章を読んでしまったら…我慢できなくなりました。 (私よくやるのです、書店で1章だけ読んでみて面白かったら買う、というパターン) どうもあの章に騙されたような気がする…
最初の章はしごくまっとうな話で始まります。 米国のジャズバーでのエピソードから ゲイのピアノ調律師の話。 しかも村上がわざわざ一人称で この本のそもそもの成り立ちみたいなものを説明しているではありませんか。 …まさか最後に「話をする猿」が出てくるとは思いませんでしたね。
それにしてもこの短編集、村上春樹の隠れフアンとしてはちょっと不満です。もっともっと心の琴線に触れるような、春樹ワールドにどっぷりはまってしまってこちら側の日常にたやすく帰ってこられなくなるような、そんな作品を書いて欲しいものです。
|
|
|
|