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2004/12/05(日)
蹴りたい背中
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今日の朝日新聞の「2004年、心に残る話題の本」という特集の中で綿矢りさの「蹴りたい背中」が取り上げられていました。その紹介文を読んで仰天しました。「クラスの中で浮いた存在の女子高生ハツは、ひょんなことから同級生ののけ者的存在の男子に興味を抱く。少女の淡い性的欲望をリアルに描いた芥川賞受賞作。」 おいおい…そう来るか?そんなに簡単にくくっちゃう話ではないだろう!?と。 断っておきますが、私はこの小説はまったく好きではありません。話題になった頃すぐに読みましたが、私にとっては面白くもなんともなかった。こんなものがどうして芥川賞を?と疑問に思ったくらい。ただ、若い作者のなんともいえない悪意というか意地の悪さが全編に感じられて、それをこの乱暴な題が見事に表しているところに感服しました。女子高生の、周りを否定しながらも否定しきれないでいるもどかしい立場、警戒しながらも他者とのつながりも求めてしまう複雑な気持ち、気になる男子(決して好きなわけではない、どちらかといえば馬鹿にしている)の「もの哀しく丸まった無防備な背中を蹴りたい」思い、そういった多分本人も理解できない感情を少し距離を置いて表しているところが見事だと思いました。それが、「少女の淡い性的欲望」だあー!?私が編集長だったら、こんな紹介文を書いた人間は即刻クビにしますね。
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