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2006/03/19(日)
WBC
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ようやく韓国に勝った。素直に嬉しい。
今回の試合も、七回の福留の一発まではフラストレーションが溜まる試合だった。
ノーアウト・走者セカンドでの、四番・松中の走者を次塁に進められないフライアウト。次の打者がイチローという時の、サードライナー→一塁走者飛び出しのダブルプレー。福留の一発の前も、田村のバント失敗でセカンドランナーをサードに送れず、というミスがあった。
注目するべきは、これらの苛々させられてしまうプレーの後の、上原のピッチングである。彼は試合の流れというものを良く知っていた。攻撃でのミスというのは守備に引きずりやすいものだ。それが「ピンチの後のチャンス」という格言にも現されている。上原はだからこそそこを押さえ、敵に流れが傾かないようにした。つけいる隙を与えない。攻撃側の悪い流れは、投手がテンポの良い流れで断ち切る。意識してそれをやってのけた。これが普通はできない。
王監督の采配にも驚かされた。
七回、松中がノーアウトでツーベース・ヒットを打った時、個人的に考えたのは彼に代走を出すことだった。足の遅い松中では、単打ではホームに帰ってこられない。右方向への当たりでもサードへの進塁が難しい。バントで送るにしても、足の遅さというのはバントをする打者へのプレッシャーになる。そもそもバントをするのが普段しなれていない田村ではないか。
しかし、王監督は松中に代走を送らなかった。そして田村のバント失敗。正直、私は「ほら見たことか」と思った。それに続いてまた、私には頷けない采配。今江に変えて代打・福留。調子を落としてスタメンをハズした男をここで代打に出してどうする。結果がでるわけがない。
ところが結果は出た。ツーラン・ホームラン。恐ろしいとしか言いようがない。
ここからの大量失点は、韓国側に原因がある。投手がキレて小笠原にボールをぶつけたことがそもそもの間違い。勝つためならば腐らずにグッと堪えなくてはならないところだ。もしくは、ホームランを打たれたところでピッチャーを代え、心機一転を計るべきだった。
日本は、結果としては負けてしまったが、それをしている。前回の韓国戦だ。藤川球児が八回に二点タイムリーを打たれた直後、日本側はそうとう意気消沈したはずだった。ガタガタと崩れて大量失点してもおかしくない。そこで王監督はすかさずピッチャーを代えた。そしてその時に取られた「二点」のままで試合を終えた。
日本はミスにつけ込まれて韓国に二敗した。韓国の試合運びはまさに完璧だった。だが、ミスによる失点をしながらも、日本はその後も最善を尽くした。腐って崩れなかった。試合を投げなかった。長い目で見ると、それが今日の結果に結びついていると言っても過言ではない。
韓国は点を取られてからが脆かった。完璧な試合運びを捨てた。また、雨が彼らの気分に追い打ちをかけたような気もする。ピッチャーも、雨のせいでコントロールに微妙な狂いが生じたのではないか。雨は、攻撃側より守備側に大きく負担を与えるものだ。つまり、本来持っている攻撃力が大きい方が有利になる。
ともあれ、勝って良かった。王監督も言っていたが、負け試合も最後まで気持ちを切らずに丁寧に戦っていたから今日の試合があった。日本の決勝進出は運だけではない。野球の技術力だけでもない。精神的なねばり強さがその大きな要因だ。つくづく、自分の最大の敵は、自分自身の心の中にあるのだと思う。
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