|
2005/09/25(日)
本・『銭形平次捕物控(十五)』野村胡堂 嶋中文庫
|
|
|
十日前に死んだ巣鴨の万両分限、井筒屋重兵衛の死にようが怪しいから、再度のお調べを願いたいという投げ文があった。さらに、重兵衛が死ぬ前に、高価な茶道具が滅茶苦茶に叩き割られるという事件も起きていた。平次と八五郎が井筒屋に出向いてみると、今度は若主人重太郎が……。表題作「茶碗割り」など十編を収録。
第二期刊行が終了しました。 表題作は確かになかなか面白い筋でした。単に人殺しがあったというだけではあまり興がそそられなくなってしまっているのですが、プラス些細でも別の謎があると良いですね。この場合は、大切にしていた茶碗を主人が死ぬ前に割りまくった、という点です。
ところで、昨日は珍しく「金田一少年の事件簿」のドラマを見てみました。一役を亀梨和也が演じるので見る気になったのです。彼はカッコイイですし、なにより野球が上手いというのが良い。漫画の方は絵柄に抵抗があったので初期の頃、雑誌で読んでいただけでした。
前半は「これはギャグドラマだな」と思わないと見ていられない気恥ずかしい作りでしたが、後半からラストにかけてはひさしぶりに謎解きのカタルシスを味わえました。いくつかの伏線を提示し、それを一本の線として読み解いていく。トリックは新本格的な強引さがありましたが、遊びと考えればそれもOKなのでしょう。
一つ、気になったのは、作中、「伝説の名探偵」とされている祖父・金田一耕助との比較で、一の消極性や傍観者的な立場がしょっちゅう非難されること。
金田一耕助は個人的には「名探偵」というより「迷探偵」だと思います。だからこそ愛すべきキャラでした。彼はあくまで事件の傍観者で、殺人事件の一つも止めることができない。非力で、誰かを守るという立場で活躍したことは皆無。
でも、ある意味「伝説化」というのはそんなものなのかもしれませんね。ドラマでの持ち上げられ方を聞いたら、あの世で金田一さんが照れまくると思います。
|
|
|