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2005/07/21(木)
映画・「星になった少年」監督/河毛俊作
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原作を一年半くらい前にラジオで聴いて、映画化を楽しみにしていました。
「小川哲夢は、優しい少年だったが、両親の不和や学校でのいじめが原因で、内にこもりがちだった。ある時両親が経営する動物プロが購入した仔ゾウ・ランディと出会った哲夢は、その神秘的な力に触れ次第に心を開いてゆく。環境と天賦の才能により、ゾウの言葉を理解できる程の資質に恵まれた哲夢は「日本にいるすべてのゾウを幸福にする。」「ゾウたちの楽園を作る」そんな大きな夢を抱き、日本人初の像使いを目指し、タイのゾウ訓練センターに留学する。己の力を信じ、人一倍の努力によって、人種の壁を越えた友情を築き、ゾウの心をつかみ、少年から青年へと、まるで生き急ぐかのように育っていく。 哲夢の母親が書いた、実話を基にして作成された感動のヒューマンドラマです」(Forte TOHO7より)
この映画を見て感じたのは、やはりストーリーは小説を読んだ方が面白い、映画は映像を見る物という想いでした。哲夢役の柳楽優弥と象たちの映像を見て楽しめないと、この映画は面白くない。映画館では泣いている人もいましたが、原作をラジオで聴いていた時の方がよほど泣けました。
良かったのは母親役の常磐貴子。いい中年女優になりましたね。味のある演技をしていました。 それから柳楽くん。彼の演技の良し悪しはともかくとして、見事な像使いぶりに感心しました。そこがこの映画の核ですから。彼の像使いぶりに少しでもボロが出ればそれでこの作品は破綻してしまうんです。素人の女の子が剣戟映画に出演して、日本刀振り回す時に腰が入っていなかったり、腕がしっかりふれていなかったりした時のように。 でも、彼はちゃんと像を操っていました。操られているように見せている像の賢さに感心するべきなのかもしれませんが。
哲夢くんの死のシーンはイマイチな気がしました。 哲夢くんは確か仕事の徹夜明けで遠距離恋愛している彼女に会いに行き、前の車を追い越そうとして反対側から来たトラックと正面衝突して亡くなったのだったような気がしたのですが(記憶違いだったらすみません)、映画では原チャリに乗って、道に飛び出してきた猫を避けてトラックと正面衝突(ここは同じだ)して亡くなっていました。猫を避けてという演出がなんかパターンだし、イヤらしく感じます。 常磐貴子の台詞に、「これからも当たり前のようにあると思っていた道が突然終わってしまった」というのがあるのですが、これからも続きそうな物語の突然の断絶感はわりとあると思います。でも、個人的には彼の死のシーンは映像化しなくても良かった気がしました。少なくとも猫は出さないほうが良かった。子供騙し臭くなってます。
でも、スタッフロールに繋がるラストシーンは余韻が残って良かったです。
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