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2005/05/30(月)
落語・『親子酒』八代目三笑亭可楽
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生産が中止となり新宿紀伊国屋でも現品限りとなっていた可楽の全集は売り切れてしまったそうです。残念。
『親子酒』は短い噺で寄席でも良くかけられます。円朝の速記本には『親子の生酔い』という題で載っている古い噺だそうです。
酒の好きな親子が二人で禁酒の約束をしますが、息子が出かけた留守に、女房に頼み込んで酒を飲みだした親父は、すっかり酔ってしまいます。そこへ息子が戻ってきますが、息子の方もお出入り先でご馳走になり、へべれけ状態。 親父には息子が二人に見えて 「おまえみたいな化け物にはこの身代は譲れません。」 それに対して息子も大笑いしながら 「冗談じゃない。こんなぐるぐる回る家をもらったってしょうがねぇ」
個人的にはあまり好きな噺ではありません。酔っぱらって帰ってきた息子が出入り先の旦那に酒を勧められて断りつつも結局飲んでしまうというくだりは好きなのですが。 何度か書きましたが、酔っぱらいの噺は好きではないのです。酔っぱらいというものはリアルに演じれば単に見苦しくて聞き苦しいだけのものになります。ろれつの回らない喋り方やだらしない身振りをしつつ、それをきちっとした噺として見せなければならないわけで、そういうことはとても難しいと思います。そんな演技を見せてくれる噺家さんが滅多にいないことも、私にこの噺を嫌わせてしまう要因になっているのかもしれません。
ところで八代目可楽はお酒が大変に好きだったそうで、いよいよ臨終の席で「末期の水」を受ける時には、お弟子さんが脱脂綿にお酒を染みこませ、「末期の酒」としたそうです。 好きな人はいかにも美味しそうに飲む酒ですが、私はイマイチその味が良くわかりません。さらには本場のドイッチュ・ビアなど飲むとその後七転八倒の苦しみを味わったりもして、アセトアルデヒド脱水酵素の働きがよほど弱いのかと思ったりもします。自分には人生の楽しみの一つが与えられていないかのようで、少しつまりません。
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