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2005/03/26(土)
本・銭形平次捕物控(十)『金色の処女』野村胡堂
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嶋中文庫。第T期全十巻の完結です。 ただし、第U期全五巻が5月から始まります。
この巻は割とバラエティ豊富で探偵小説らしい作品が揃い、久しぶりに楽しんで読めました。
「百物語」 大店の旦那が余興でやることになった百物語。その演出として最後に登場するはずだった幽霊役がなんと首吊り死体となって現れます。
「南蛮仏」 屑屋の周助が殺されます。平次が捜査に乗り出しますと、古道具の中のご禁制の切支丹のマリア像の中から百両の小判が。
「忍術指南」 忍術指南の看板を見た平次、探索の為に八五郎とともに正体を隠して入門します。江戸を騒がせている怪盗の正体はその忍術の師匠なのでしょうか。
「笑い茸」 涼み船で取り巻きと騒いでいた磯屋貫兵衛。舶来物の葡萄酒を廻しのみしたとたん、みな気が違ったように笑い出します。やがて何者かに船底の栓を抜いて──。
「許嫁の死」 小柳町の伊丹屋の若旦那が平次のところに飛び込んできて、許嫁が風呂の帰りに路地で締め殺されたので、下手人を挙げて欲しいと頼みます。
「紅筆願文」 大家の用人が平次のところに持ち込んできた謎は、紅筆で書かれた謎の仮名二十五文字でした。1行目の「あなかしこ」だけは読めるのですが……。
「金色の乙女」 独身時代の平次の活躍。将軍・家光暗殺の疑惑を調べるためにお静の協力を仰いだ平次。ところがお静は拐かされて、邪教の生け贄として裸体に金箔を貼られるという辱めを受けます。はたして平次はお静を助けることができますか……。
「お篠姉妹」 ある夜ガラッ八がお篠という美女に声をかけられ、大店に使用人として入った妹に会うために御用聞きとしての力を貸して欲しいという頼みを聞いてやります。ところがその夜、店の主人が殺されて……。
「禁制の賦」 笛の達人・春日藤左右衛門は、亡きライバルの息子で弟子でもある一色友衛に、亡き父から預けられた「禁制の賦」を独り立ちの門出に一回だけ吹いて欲しいとせがみます。この「禁制の賦」は吹けば人が死ぬという呪われた曲なのですが……。
「ガラッ八祝言」 大店の多鹿屋に婿入りするために命を狙われているという錦太郎の身代わりとして、八五郎が婿入り行列の婿をすることになります。八五郎は何事もなく多鹿屋に入るのですが、その代わりに多鹿屋の花嫁、お福が襲われます。お福は名代の浮気者で、恨みを買う覚えは多いのですが……。
表題の「金色の乙女」はエロティックな雰囲気もので、きわどいシーンがあるわけではないのですが、話としてはあまり面白いものではありませんでした。好きな人はこういう話がたまらないのでしょうが。 「南蛮仏」は落語の「井戸の茶碗」からヒントを得た話でしょう。落語が元ネタなのではないかと思う話は時々あります。
野球・楽天ゴールデンイーグルス勝利
公式戦で千葉ロッテマーリンズに3対1。エース岩隈が九回を完投。打者33人に対して122球、5安打7三振3四球1失点。
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