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2005/12/27(火)
本・『半七捕物帳【四】』岡本綺堂 光文社文庫
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「著者綺堂が、長く病に臥せっていたとき、『江戸名所図絵』を通読、これが『半七捕物帳』を書くきっかけになったという。 人情味豊かな捕物帳の世界を描いて、江戸の風物詩を現代に伝える永遠の傑作! 「柳原堤の女」「ズウフラ怪談」「妖狐伝」等十一編収録」(カバー裏より)
怪談話が合理的に解釈される、その形は好きなのですが、似たような話が続いたうえ、後半の話はちょっと解決が強引な感じでした。気に入ったのは「柳原堤の女」と「むらさき鯉」。
「柳原堤の女」 柳原堤にある清水山という寂しいところに深夜一人の女が出没するという噂がたつ。夜鷹かとも思われたが、声をかけた男がその顔を覗くと青い顔をした鬼であった。喜平という若者が妖怪探索を思いついて同士を求めてでかけるが、それ以来彼の周囲で怪異が起こり始める。大きくなった騒ぎを鎮めるため、同心が半七に探索を命じる。
「むらさき鯉」 殺生禁止のむらさき鯉の密漁をしている男の家に、夢枕に鯉から命乞いをされたという女が現れて、言い逃れをする妻の前から生け捕っていた鯉をさらっていく。そのすぐあとに鯉を捕っていた夫の藤吉が慌てて帰ってきて、禁断の鯉釣りをしていると、相方が鯉に川へ引き込まれてしまったという。藤吉は相方の家に知らせに出ていくが、そのまま帰ってこない。妻が心配してでかけると、川に引き込まれたはずの相方は元気で何も知らずに家で寝ていたうえに、当の藤吉が水死体となって引き上げられる。家に戻ってきた藤吉は幽霊だったのか? この謎が半七のところに持ち込まれる。
この二編は怪談じみた筋書きと解決のバランスがわりとよくとれていると思います。
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