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2005/12/23(金)
本・『半七捕物帖【三】』岡本綺堂 光文社文庫
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◇歌舞伎を好んだ著者綺堂は、江戸の風土と季節感を巧みに描きながら、随所に江戸っ子のしゃれた会話をもりこんでいる。 一話一話が今なお新鮮で、推理小説の先駆として生きつづける、捕物帖の最高傑作! 「雪達磨」「雷獣と蛇」「一つ目小僧」等十四編収録。 江戸のシャーロック・ホームズ、半七が活躍する! 不朽の名作をより読みやすく新装刊。(カバー裏より)
一日一編ずつゆっくり読みました。印象に残る話はやはり紹介されている「雪達磨」「雷獣と蛇」などでしょうか。特に「雪達磨」は本屋での立ち読みで読めてしまえるほどの味わいと魅力があります。
半七シリーズはそれほどトリッキーな作品ではなく、ミステリという形式は取っていますが、どちらかというと故老の昔語りを聞きながら江戸の風情を楽しむもの。話にそれほど大がかりなオチがなかったりするのも、却ってリアリティを感じさせます。まぁ、そんなことはいまさら私がいうまでもないことでしょうが。ミステリファンよりも歌舞伎好きや落語好きにはうってつけの作品です。
ところで「銭形平次」でも感じたのですが、捕物帖には必ず「殺人」が起こらなければならないみたいな殺伐としたところがちょっと読み続けていると息のつまる部分で、「異人の首」「一つ目小僧」みたいに世間を騒がせただけで終わる話のほうが、ゆっくりと江戸風情が楽しめていいです。
それにしても若い読者には辛い作品だろうな。そもそも老人の昔語りって、若い頃は嫌ってしまう物ですしね。
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