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2005/11/19(土)
本・「噺の背景」石井明 朝日新聞社
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「落語を検証する。 西行、与太郎、幇間、遊女など、噺に登場する人物の伝承や風俗の背景にわけ入り、冥土や幻術の不思議も活写していく。噺を面白く聴き、愉しさが倍加する落語の考証読み物である。狂歌から落語への形成に関わる「木室卯雲の足跡」を併録」(帯より)
「冒頭で、落語を聴くのに予備知識はいらない、みんな噺のなかで説明されていると言いましたが、落語を演じるうえでは、理屈っぽさはもっとも嫌われますから、噺家さんは必要最小限度のことしか説明をしません。 落語は気軽に楽しむものですから、それでよいのだともいえますが、噺を聴くうえでは、背景となる知識が、より幅広く、深くあったほうが、噺を何倍にも面白く聴けることも確かなことです。 本書では、噺家さんの言わない噺の背景となる時代風俗などをさまざまな角度から、少々理屈っぽく解説することにしました」(あとがきから)
先日、東京に行ったおり、古本屋に一冊五百円で山積みになっていたものです。面白そうなので買ってみました。
帯にもある通り、西行から遊女のくだりまでは面白いのですが、終盤の冥土、幻術、「木室卯雲」の部分は資料説明が多いのと落語とのダイレクトな関連性が薄いように感じられ、退屈で読書スピードが落ちました。
与太郎のくだりはいろいろな噺の与太郎さんを一人の人物として考え、「この噺は与太郎が○○才の頃のことと思われる」などと評伝式にしていました。同一人物だとは考えたことがなかったので面白かったです。
また、遊女のくだりは吉原の大夫、花魁だけでなく、街角の夜鷹のことを詳しくとりあげ、比較対照などしています。小説の主人公にしたいようなカッコイイ夜鷹さんも紹介されていますが、それにしても女を売る商売というのは大変だったろうと思います。
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