ロバの耳
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2005/10/02(日) 本・「あなたに似た人」ロアルド・ダール/田村隆一訳 ハヤカワミステリ文庫
 映画「チャーリーとチョコレート工場」の感想を書いた時に少し触れました原作者ロアルド・ダールの「あなに似た人」、読み直してみました。皮肉たっぷりの短編集です。

「その夜、ロンドンのスコウフィールド家の晩餐の席でひとつの賭がなされた。美食家を自認する客のリチャード・プラットが、食卓に出た珍しい葡萄酒の銘柄を判定できると言いだしたのだ。賭け金はプラットの邸宅と当主スコウフィールドの令嬢──絶大の自信を持つ当主は、その賭けに同意したが……!
 一篇の短篇小説の中に幻想とユーモアと恐怖をちりばめた、奇妙な味の短編を数多く発表している鬼才ダールが、賭博に打ちこむ人間の心の恐ろしさをテーマに描いた珠玉の掌篇十五篇を収めた代表的短編集!」

 ネタやオチは、わりと単純なものなのです。でも、展開に漂うサスペンスとユーモアが読ませます。

 例えば、昔の子供向けミステリ・クイズで必ずネタにされていた「おとなしい凶器」。
 夫に離婚を宣言された妻が、衝動的に凍った羊肉を凶器にして夫を殺害するのですが、それを調理して捜査に来た警察官たちにふるまいます。
 喜んで食べる彼らに、犯人である妻は思わずクスクスと笑ってしまうのですが、これがしてやったりの悪意のある笑いではないところがまた恐いのです。

 また「南から来た男」は、一発でつくと言われるライターを持っていた青年に、十回連続がつくかどうか、自分のキャデラックとあなたの小指を賭けようともちかけてくる男の話。「必ずつく」という確信が、小指を失うという重みによって揺らがされ、緊張が張りつめます。

 個人的にはそういう賭け事にまつわる緊張感というのは苦手なのでパチンコにすら手を出していませんが、「至上の幸福、さもなくば破滅」という二者択一の強いる緊張というのは、どこか人を魅了してしまうものがあるのでしょう。


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