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2005/10/15(土)
本・「書斎の旅人〜イギリス・ミステリ歴史散歩」宮脇孝雄 早川書房
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「香り高きイギリス・ミステリの世界を旅してみませんか
ヴィクトリア時代から現代に至る英国ミステリの歴史を豊富なエピソードで解き明かす俊英の知的エッセイ
クリスティーの『そして誰もいなくなった』はイギリス人の孤島好きの現れである。文学宣言をした最初の人気ミステリ作家はドロシイ・セイヤーズだった。ハドリイ・チェイスの登場の陰には、イギリスの犯罪者仁義の変化があったP.D.ジェイムスが定義するイギリス・ミステリとは?──気鋭の翻訳家・エッセイストが豊富なエピソードをまじえ、これまであまり知られていなかった豊かなイギリス・ミステリの森を探索する初の本格的エッセイ。 (本書帯より)
数日前にちょっと触れた「面白い本」というのが本書です。間、マンガやら別の本を読んだりしていたので、読了に時間がかかりました。前半はクリスティやカー、クィーンにチェスタトンなど良く読んでいた作家に触れることが多かったのに、後半はハドリー・チェイス、クリスピン、シモンズなど、なじみのない作家に話題が写ったのも読書スピードが落ちた原因と思われます。
自分は常々、「〜が好き」と公言したり、マニア、オタクを自称するのにひどく抵抗を感じているのですが、それはそうであると思えるほどには自分がそれらの事情に精通しているかどうか自信がないからです。例えば、これまで自分はアメリカ物よりもイギリスのミステリが好きだと漠然と思っていました。でも、全てのイギリス・ミステリを読んだことがあるわけでは決してなく、氷山の一角である好みの作家がたまたまイギリス人ばかりだったというに過ぎません。
また、その好きであるはずの一部のイギリス人作家にしても、自分がその作家のどの部分にどう惹かれているのか? と尋ねられた場合、きちんと答えられるかどうか。「好き」だ「マニア」だ「オタク」だと公言できるほど、自分はその作家、そのジャンルを把握しているのか。いや、そもそもミステリ好きと公言できるのか。自分が読んだことのあるミステリより、世に出版されているミステリの数の方がはるかに多いのは明らかなのです。
そういう乱読性のなさにくわえて、記憶力の弱さも、「マニア」であることが自負できない原因であります。既に読んだ作品にしても、その内容をいちいち覚えておくことができない。別にミステリに限ったことではないのですが。
こういう私のようなタイプの人間は専門家、研究者には向かない人種なのです。いわゆる知識人には一生かけてもなれません。
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