ロバの耳
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2005/01/15(土) 本・『血と骨』梁石日 幻冬社文庫
 2日に初句会のためにお邪魔したU夫妻宅で、U夫人から辞去する時にとっさにお借りした上・下巻、ようやく読み終わりました。
 ビートたけし主演の映画で話題にもなった作品です。

「一九三○年頃、大阪の蒲鉾工場で働く金俊平は、その巨漢と凶暴さで極道からも恐れられていた。女郎の八重を身請けした金俊平は彼女に逃げられ、自棄になり、職場もかわる。さらに飲み屋を営む子連れの英姫を陵辱し、強引に結婚し……。実在の父親をモデルにしたひとりの業深き男の激烈な死闘を数奇な運命を描く衝撃のベストセラー!」

「敗戦後の混乱の中、金俊平は自らの蒲鉾工場を立ち上げ、大成功した。妾も作るが、半年間の闘病生活を強いられ、工場を閉鎖し、高利貸しに転身する。金俊平は容赦ない取り立てでさらに大金を得るが、それは絶頂にして、奈落への疾走の始まりだった……。身体性と神話性の復活を告げ、全選考委員の圧倒的な支持を得た山本周五郎賞受賞作!」
(文庫本裏表紙より)

 年末のNHKのラジオに作者が出ていて、その話を聞いてからちょっと興味を惹かれていた本でした。

 主人公・金俊平の不死身の凶暴さ、非道さは、一種の快感を伴うほどです。男として、彼のような徹底した凶暴性には憧れもあり、むしろその肉体が不自由になったときの低落ぶりには目をそむけたくなりました。

 社会の底辺を描いてもいますが、主人公を軸にした社会批判やら、民族問題、イデオロギーを声高に叫んでいないのが良いですね。そういうのが前面に出てくると却ってしらけます。登場人物たちがすでに在日朝鮮人なわけですから、読者はすでにその問題を意識しているはずで、作中で改めて訴えられてもくどいだけですから。

 この本を貸してくれたU夫人、ありがとうございました。女性だとこの作品をどう読んでどう思うのか、ぜひ感想をお聞きしたいところですね。まぁ、日記にも少しお書きになられていましたが。


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