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2005/01/13(木)
アニメ・名探偵ポアロとマープル『パディントン発4時50分』
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旅行中に録画していたものを、今日見ました。ずっと楽しみにしていたマープル物。この話だけは見逃すわけにはいきません。
詳しい内容を忘れていたのですが、旅行中に買った『アガサ・クリスティー大辞典』を読んでみると、「この作品ほどNHKが作ったこのアニメにおあつらえ向きの設定はないんじゃないか?」と思ってしまいました。というのも、この話には、主役がマープルの他にもう一人いるからです。 それはルーシー・アイレスバロウという女性。このキャラは、安楽椅子探偵であるマープルの手足となって活躍する人物です。つまり、それをアニメのオリジナルキャラ、メイベル・ウエストにやらせてしまえばいいのです! 案の定、アニメではルーシーの役をメイベルが勤めていました。
しかし、原作のルーシーというキャラは、これでなかなかに魅力的なキャラでした。 彼女は32歳と少々年齢はいっていますが、イギリスでは名の知れたスーパー・メイドです。オクスフォードで数学を専攻し、主席で卒業したという経歴を持ちながら、自ら選んで家政婦になったという変わり種。その完璧な仕事ぶりに、誰もが彼女を我が家のメイドにと望みます。しかし彼女は一つの家には2週間以上は勤めません。しかも、自分が気に入った相手でないと仕事は引き受けず、多額の礼金を要求するのです。 ルーシーがマープルと知り合ったのは、マープルが肺炎を患った時に甥のレイモンド・ウエスト(アニメのメイベルの父)が看病をさせるために雇ったため。その時にルーシーはマープルを大好きになり、マープルもルーシーの有能なメイドぶりに大いに満足したのです。 ルーシーはマープルから、「死体が隠されていると思われる屋敷にメイドとして潜入し、死体を発見して欲しい」という依頼をもちかけられて、三ヶ月先まで詰まっていた予定を繰り延べて、「三週間だけなら」という期限付きで引き受けます。 ルーシーが潜入するクラッケンソープ家の当主は大変に気難しい人物。しかし、ルーシーの仕事ぶりや人柄はその当主をすら魅了します。そうして彼女はマープルの要求通り、見事な探偵ぶりを発揮するのです。
アニメでルーシーの代わりを勤めるメイベル・ウエストが、はたしてそこまでの魅力を出しているかというと、一回目を見た限りではそれは疑問です。若く可愛らしいメイベルと、決して若くも美人でもないルーシー。しかし、この二人のうち、人としての魅力に溢れているのはあきらかに後者です。アニメの方は時間的制約があるからなのでしょうが、メイベルは単なる話の進行役に過ぎない存在になってしまっています。 興味を持たれた方はぜひ原作を読んで、ルーシー・アイレスバロウに会われてみてください。きっと彼女の魅力に引き込まれると思いますよ。
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