ロバの耳
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2004/07/31(土) 『コンスタンティノープルの陥落』 塩野七生 新潮文庫
 今年のお正月に『ローマ人たちの物語』にはまって、文庫で出ているぶんを全て読んでしまった後、同じ作者だからと勢い余って買ったものの、『ローマ人〜』にくらべイマイチ面白みにかけ、読みかけのままどこかに置き忘れていたのが、ひょんなことからみつかったので、とにかく読んでしまいました。
 『ローマ人〜』と『コンスタンティノープル〜』、二つの本の私への印象の違いがどこからくるのかはちょっと説明できませんが、前者はワクワクするのに対し、後者は退屈させられました。征服者であるマホメッド二世に魅力を感じなかったからでしょうか。それとも、「コンスタンティノープルという都市が1453年にオスマン・トルコによって征服された」という世界史では「重要」とされている既知の出来事に、ハッとするような新しい認識をさせてくれなかったからでしょうか。

『日露戦争物語L』 江川達也

 明治の軍人・秋山真之を主人公にした、マンガ版『坂の上の雲』のようなお話です。(そういうと作者の意図には反しているかもしれませんが、未読の方にわかりやすく言ったまでです) ただし、現時点では日清戦争が始まり、その経過が詳しく語られ始めているので、真之の出番はほとんどありません。
 これまでメジャー紙に連載されているマンガで、ここまで戦闘の経過を詳しく解説・描写してくれるマンガがあったでしょうか。両軍の陣地、とっている陣形、戦闘の進行状況などが、逐一図解されています。しかも、一隊ずつの隊長の様子まで細かいこまわりで描いていたりします。私個人としてはとても嬉しい描かれ方なのですが、これで一般読者がついてきてくれているのかと心配にもなります。でも、作者も編集者も編集長も、最後までこの調子で頑張り続けて欲しいと思います。

2004/07/30(金) 運転免許停止処分
 運転免許停止処分の手続きをしてまいりました。
 停止期間が30日のところ、6時間の講習を受けてテストで「優」をもらえば1日に短縮してもらえるというので、受講しました。受講費用は1万3800円。今月は仕事がもらえず赤字だったのいうのに、痛すぎる出費が続きます。来月も続けて仕事がなさそうなので、いっそ講習を受けるのはやめて免停のままでいようかと考えたほどでした。
 講習というのは教本を参考に講師の人がテストで出るところを教えてくれるという方式でした。ですからほとんどの人が「優」をとれるわけです。眠らずに講師の話を聞いていれば。
 で……。
 とりあえず、とりあげられた免許証はその日のうちに返してもらえました。今日一日は車を運転しないという誓約書を書かされたうえで。</4>

2004/07/29(木) 独眼竜政宗
 BSで『独眼竜政宗』の総集編を放送しています。全五回。
キャストは以下の通りで、亡くなった方も多数。もう16年前の大河ドラマですし。

渡辺謙(伊達政宗)    桜田淳子(愛姫)
北大路欣也(伊達輝宗)  岩下志麻(お東の方)
岡本健一(伊達小次郎)  嶋英二(藤次郎)
藤間遼太(梵天丸)  後藤久美子(愛姫少女)
西郷輝彦(片倉景綱)   三浦友和(伊達成実)
竹下景子(喜多)     真田広之(松平忠輝)
村田雄浩(鬼庭綱元)   竜雷太(伊達実元)
音無美紀子(蔦)     高嶋政宏(片倉小十郎)
寺泉憲(蒲生氏郷)    寺田農(大内定綱)
榎木孝明(大野治長)   陣内孝則(豊臣秀次)
大和田伸也(山家国頼)  萩原流行(布施定時)
長塚京三(留守政景)   八名信夫(村田宗植)
野村宏伸(伊達忠宗)   山下規介(豊臣秀頼)
宅麻伸(徳川家光)    勝野洋(徳川秀忠)
石橋蓮司(柳生宗矩)   谷啓(今井宗薫)
大木実(前田利家)    林与一(浅野長政)
沢口靖子(五郎八姫)   秋吉久美子(猫御前)
奥田瑛二(石田三成)   樋口可南子(淀君)
神山繁(遠藤基信)    大滝秀治(虎哉宗乙)
八千草薫(北政所)    いかりや長介(鬼庭左月)
金子信雄(伊達晴宗)   原田芳雄(最上義光)
津川雅彦(徳川家康)   勝新太郎(豊臣秀吉)

 幼少の頃より片目を失う、母親との葛藤、父親殺し、弟殺し、秀吉・家康との対決・・・戦国武将の定めとはいえ、政宗の生涯はとてもドラマチックだったのですね。

2004/07/28(水) 『キャッチミー・イフ・ユーキャン』S・スピルバーグ監督
 火曜日にツタヤの会員証を見せると1000円になる近所のシネマ・コンプレックスは、さらにその半券をツタヤにもっていくと旧作が一本無料になります。
 本当は『遠すぎた橋』という戦争映画を借りたかったのですが、無かったので前からもう一度見直したいと思っていた『キャッチミー・イフ・ユーキャン』を借りました。
 スピルバーグ監督とレオナルド・ディカプリオ。私はあまりこの二人の絡んだ作品を評価したことがありません。それは単なるオタク気質からくるメジャー物への反発と言った感覚ではなくて、実際に観て純粋に楽しめたか楽しめなかったかという正直な感想です。
 ところが本作品は大好き。映画館で観てすぐに原作を買って、もう三度ほど読み返しています。DVDが出たのはもうだいぶ前ですが、本気で買おうかどうか迷っていました。今回は無料レンタルで観たわけですが、それでもなお、どこかで安く売っていたら、買おうと思っています。
 ストーリーは、十代にしてパンナムの副操縦士、病院のレジデント、法律家などになりすまし、偽造小切手で250万ドルも稼いだ詐欺師。それを追いかけるFBI捜査官との行き詰まる追いかけっこです。ただしドンパチはいっさいなし。騙し騙されの頭脳戦。 
 役者で映画を観たりはしない方なのですが、華やかで大胆な若き天才詐欺師を演じるディカプリオと、ださいオジさんだけれども堅実に彼をおいつめていくトム・ハンクスが対照的でとてもいい。
 バックに流れる音楽も私好みの60年代ナンバーが使われています。

2004/07/27(火) 映画・落語……

 映画を観に行った帰りに、すぐ横にある〈えずこホール〉の前を通ると、広告板に『えずこ寄席 歌丸・小三治二人会』のポスターが。
 すぐに前売り券を買いました。

『スチームボーイ』 大友克弘監督 

 「映画は期待しないで行く」というのは私の持論ですが、今回もそれで正解でした。チラシやCMの映像、新聞の評など、あまり面白くなさそう……と思っていましたが、やはり映画は観るものですね。確かにストーリーにそれほど魅力はありません。しかし、さすが大友監督、動画映像としては一級です。これは動画を観るための映画で、それだけで十分楽しめます。押井守監督の『イノセンス』も映像美が賞賛されていましたが、「アニメーション動画」としては大友の本作の方が良かったと思います。

『もう半分』 五代目古今亭今輔

 月曜日のラジオ名人寄席は古今亭今輔の『もう半分』でした。「おばあさん」で売った方なので、今輔の噺には必ずと言っていいほどおばあさんが顔を出します。きっとお客さんの期待に応じてのことだったのでしょうね。そのおばあさんをメインにした噺、『青空おばあさん』を前に聴きましたが、ちょっとくどくてうるさい感じの噺でした。
 『もう半分』は怪談で、「もう半分いただけますか」が口癖のお酒好きのお爺さんが 、お店を立て直すために娘を売って作ったお金を酒屋に置き忘れ、それを酒屋の夫婦にネコババされてしまい、自殺してしまう……という暗い話。どうも怪談というのは好きになれません。

『反魂香』 八代目三笑亭可楽

 そして火曜日、本日の名人寄席はまってましたの可楽師匠です。今日は、映画の終了が12時、名人寄席が12時10分、1時から甲子園大会宮城県決勝ということで、なかなか忙しいスケジュールだったのですが、可楽を聞き逃すわけにはいきません。
 何度も言うようですが、可楽はあの独特の語り口がたまりません。『反魂香』も怪談なのですが、『もう半分』のような暗い話ではなく、死んだ恋女房・梅を呼び出そうとする八五郎の純情話なのでわりと好きです。
(できればお梅さんにホントに出てきて欲しかった……)
 歌舞伎・浄瑠璃にも『傾城反魂香』という演目があるようですが、内容はまったく違います。


2004/07/26(月) 『銭形平次捕り物控(三)』 野村胡堂 嶋中文庫
 思い出すだにいまいましい地方検察庁に行った帰りに買いました。地元の書店にはなく、これまでずっとネットで買っていたのですが、さすがに仙台の書店には置いてありました。
 『銭形平次』の本格探偵小説ぶりについてはもうこれまでも何度も口にしてきたのですが、今回は本編につきまとう戦前・前後の時代に好まれた雰囲気というか、乱歩的・横溝的なおどろおどろしさについても言及しておきましょう。
 まず死体が怪奇的。今回のお話の中にも「両国橋の欄干からつり下げられた、胸を諸刃の剣でつらぬかれた美女の死体」などというものがでてきます。それから「竹光の刀で貫かれた死体」やら、「浴槽で血まみれになっている美女」、さらにこの本ではありませんが、「首から上を犬のものとすげ替えられた死体」なんていうのもあります。
 毎回、必ずといっていいほど美女が登場し、これがまたよく殺されます。ただ、乱歩・横溝のようにエロチックではありません。お人柄か、色気にも品の良さが漂います。(ときに今回の話には、普段まったく目立たないお静さんが、ちょっとしたヤキモチをみせるシーンなどあるのですが、くどくど描写したりせず、さらりと書き流してあったりするところがなんともいえず素敵だったりします)
 テレビの「時代劇」的固定観念のある人は、読むとびっくりだと思いますよ。なにせ時々は暗号や密室事件なども扱いますから。

2004/07/25(日) 雨宿りツバメ
 午前中からずっと気温の上昇が続いていましたが、午後になって空が曇り、風がでてきて、ゴロゴロと雷が鳴り始めました。画像はまだ降り出してはいないうちから、玄関先で雨宿りの体制に入ったツバメです。

 NHKアニメ劇場ポアロとマープル『風変わりな遺言』

 いよいよミス・マープルの登場。やっぱりポアロよりもマープル物の方が断然面白いです。まぁ、私がマープル・ファンというのも大きいんでしょうけれど。相変わらず声の出演にも凝っていて、叔父さんの残した遺産を探している男女の声を及川光博と酒井法子がやっていました。
 来週もマープルもの。しかも次回の『申し分のないメイド』は、短編集『愛の探偵たち』収録の『非のうちどころがないメイド』が原作で、この話は特に好きな話。いまから楽しみです。

2004/07/24(土) 『KATU!L』あだち充
 あだち充といえば、もうこれはマンネリ・ラブコメの王者ですね。恐らく『みゆき』『タッチ』あたりで終わっている漫画家なのでしょうけれど、なんとなく読んでいます。
 いつも思うのですが、あだちマンガは導入はまぁ面白いのです。でも、話が長くなっていけばいくほどその勢いは失速して、どんどんつまらなくなっていく。というか、いつもその後の展開が同じなんです。主人公に恋でもスポーツでも強いライバルが現れて、ヒロインの心がその間で揺れ(ているように見え)るという。
 そんなマンネリあだちマンガの中でも、もっとも好んで使われるシチュエーションがありまして、それがこの巻でも使われています。それは「入院した自分の恋敵を頻繁にお見舞いするヒロイン」というものです。これは『タッチ』を初めとして、あだちマンガでは必ずと言ってもいいほどに使われています。かといって、他のラブコメマンガでよく使われるかといえば、そうでもない。あだち充がどうしてここまでこのシチュエーションを使いたがるのか、不思議なくらいです。
 恐らくあだち充は、そのシチュエーションが「男としてもっとも不安を感じる構図である」と無意識的に感じているのでしょう。でも、こういうことが実際あったとしたら、それをしている女性側の心理というのはどうなのでしょうか。自分が好意をよせている男性がいて、その人も自分に好意を寄せてくれている。それに横恋慕をしてくる男性が入院したとき、その人の看病をしたり足繁くお見舞いに行ったりするというのは、ありえることなのでしょうか。
 一つ考えられるのは、好意をもたれていることを自覚しつつも、いまいちはっきりと態度にしめさない相手にいらだって、わざと恋敵と親密にふるまうことで気をひこうとしている、ということでしょうか。しかし、あだちマンガのヒロインはそういう性格に設定されていないことがほとんどなのです。しかも、ヒロインは主人公に内緒でお見舞いに行っている。これでは気をひくもなにもないですね。
 好きな人が別の男と親密そうにしている現場を目撃して誤解する、というのはラブコメの王道シチュエーションではありますが、あだちマンガの「お見舞い」はいったい何のために物語の中に(しかもここまで頻繁に)挿入されるのか。うんざり+ちょっとした謎でもあります。

2004/07/23(金) 略式裁判・・・の手続き
 スピード違反で捕まった件で仙台地方検察庁からお呼び出しがかかり、指定日が今日でしたので行ってまいりました。
 仙台地方検察庁はJR「仙台駅」から約1.5km、青葉通りを直進し、徒歩約20分といったところにあります。車で行ったのですが、どうせ駐車スペースなどないだろうと駅前のヨドバシカメラのPに置いて、そこから歩きました。
 検察庁から来た手紙の宛名、「〜殿」と書かれているのがなんかお役所臭くて嫌な感じです。文字は妙にまるっこくて、若いやつなんじゃないかなどと思ったりしました。
 受付で封書に入っていた書類を見せると警備員に「205号室に行って」と言われ、その部屋に行くとしきりのある机で6人くらいの人が働いていました。私の担当の方はぜんぜん若くなくて、白髪頭のおじさんでした。この人がまた、ぼそぼそつぶやくように喋るので、実に聞きとりにくい。
 本人確認をされた後、「なんでこんなにスピードを出したの」と聞かれ、詳しく説明しました。
「母親を4時に送って、また6時にむかえに行くという間に、岩沼にある会社によってさらに仙台市内にある会社指定の給油所に行かなければならなかった。2時間なら余裕を持って行って来られると思っていたところ、その日国道4号線で清掃作業をしていて一車線ふさがれており、道が大変混んでいた。そこで時間を大幅にロスし、やむなく裏道に入ったら……」
 そこまで話したところで急に話を遮られました。
「それでスピードを出しすぎてしまったと。でも、スピードを出しすぎるのは違反だからね」
 そんなのはわかりきったことです。理由を聞きたいと言われたから話したのに、便宜的に聞いただけだったのでしょうか。
 さらに不思議だったのは、職業を聞かれたときでした。
「アルバイトです」
「アルバイト? 何の仕事をしてるの?」
「誘導員です」
「誘導員? それって何? 会社名は?」
「株式会社○○○○○です」
「ああ、その会社員なんだね?」
「いえ、アルバイトです」
「具体的には何をしてるの?」
「だから車の誘導とか、施設警備とかです」
「その会社でアルバイトしてるの」
「はい」
 どうやら私が誘導員でアルバイターであることがよく理解できないよう。
 ちなみにうちの会社、その地方検察庁のビルの警備にも入ってました。よっぽど、「いつも出勤時と帰りに見てるでしょう?あれをやってるんですよ、あれを」と言ってやりたかった。
「たいした犯罪じゃないから、略式裁判と言って、裁判所のほうに出頭しなくても、書類だけで裁判してもらえるけれど、そうする?」
 そうしなかったらどうなるんだろう? 多少は罪が軽くなったりすることもあるんだろうか?
 そう思いながらも面倒くさいので「そうしてください」と言う。
「ではそうしましょう。あとで裁判所から通知が行きます。この通知を受けとるときは印鑑がいるんだけど、家に誰かいる?」
「はい、います」
「じゃ、その人に通知が来ること話しておいて。あと、罰金は振り込み用紙を別途送るから」
「はい」
「それではなにかわからないことがありますか?」
「いえ、とくに」
「それではこれで終わりです。ご苦労様でした」
 全ては十分たらずで終わってしまいました。
 家に帰ると、まるではかったように一日講習の通知が届いていました。また平日に仕事を休んで仙台まで行って、高い講習料払って一日を無駄にしなければなりません。

2004/07/22(木) 新説・池田屋事件
 18日の日曜日の大河ドラマ『新撰組』はついに「池田屋事件」をやりました。

 私はこれまで1話も『新撰組』は見ていなかったのですが、今回の「池田屋」は従来語られていたものとは違う、史実に基づいた本来の姿が初めて映像化されたものらしいです。
 それに呼応してでしょうが、先週の『その時歴史は動いた』でも『歴史街道』の今月号でも「池田屋事件の真実」という特集が組まれておりました。
 しかし、ちょっと疑問に思うのは、名前だけは認知度の高そうな「池田屋事件」の詳細を一般の人がどれほど知っているのかということです。
 「新説!」と高らかにうたわれても、従来の話がどのようなものだったのかを知らなければなんの感慨もないような気がするのですが。
 今回はその新説の中で、私が「へぇ」と思ったことがらをいくつか紹介したいと思います。

 志士・古高俊太郎を拷問にかけて御所に火をつけようとしている計画を自白させた新撰組は、その古高を救出・計画の即時実地、中止を決めるための志士たちの集会が開かれるという情報を入手します。
(この前年、政変があって、長州は尊皇派公家七人とともに西に落ちている。その巻き返しをはかろうと過激尊皇志士たちはクーデターを考えていた)
 新撰組は守護職・会津藩兵の出動を要請しますが長州との本格的な戦いを恐れた会津の腰は重く、新撰組は単独での探索を決意しました。
 本命とされた四国屋に土方率いる20数名が向かい、次点の池田屋に近藤の率いる10名が向かいます。結局、志士たちがいたのは池田屋でした。
 近藤は土方隊に伝令を飛ばすとともに沖田・藤堂・永倉・周平(近藤の養子)の五人で池田屋に切り込みます。

 私が「へぇ」と思った新説その1は、新撰組が 近藤隊10名と土方隊23名に分けられた理由です。
 これまでは四国屋、池田屋と本命が二つあったからと言われていましたが、実は四国屋というのは池田屋のご近所なのだそうです。確かにそれならわざわざ二手に分かれる必要はなさそうです。
 隊を分けたのは近藤隊は四条の橋を渡って鴨川の西側を三条橋方面へ、土方隊は渡らずに東側を行くという
二つの探索ルートをとったためらしいです。つまり、探索を始めた時点で特に本命の場所というのはなく、店や旅籠を虱潰しにしていくため、土方隊のとったルートの方が祇園という繁華街だったので人員が必要だろうということで二倍の人数が裂かれたのです。
 こちらの隊は必要に応じてまた10人ずつの二隊に分かれることができるという目算でした。実際、土方隊が池田屋に到着すると、井上に10名を与えて池田屋内に突入させ、土方自身は残りをひきいて周りを固めるというフォーメーションを組んでいます。

 私が「へぇ」と思った新説その2は、池田屋に切り込んだ隊士の人数です。
 突入したのは近藤、沖田、藤堂、永倉の4名で、近藤の養子、周平は実は突入していなかったそうです。
 これまで周平が突入したとされてきた根拠は、近藤の実家あての手紙にそう書かれていたからなのですが、これはどうも実家に無断でとった養子にはくをつけるためだったらしい。近藤は実際は、10名の隊士を3名は表口、4名が突入、3名が裏口を固めるというふうにわりふったようです。

 私が「へぇ」と思った新説その3。それは池田屋に切り込んだ後の近藤の行動です。
 近藤は突入後、2階に見回りが来たことを知らせた主人を押さえ、表階段を駆け上って様子を見に出てきた北添を切ったと言われていました。
 ところが、新説では近藤は表階段はのぼらず、主人にくっついて裏階段をのぼって二階の奥座敷に行ったらしいのです。そして「刃向かうものは斬る」と宣告した上で戦闘が始まりました。
 志士たちは窓から裏口に飛びおりる者が多数いたので、裏口を固めていた3人では押さえきれなくなり、(この3人はいずれも重傷を負う。うち1名死亡)沖田が近藤に「ここは私にまかせて裏口へ」と言い、近藤は階下へ移動しました。
 沖田がこの現場で喀血したのは事実のようです。

 これは余談なのですが、昔からどうして映画『蒲田行進曲』では、風間杜夫扮する土方が池田屋で戦っていて、切られた敵の平田満が階段から落ちるのかよくわかりませんでした。
 これは従来説の近藤が階段で北添を斬るというシーンが土方と取り違えられてるのですね。

7月絵日記の続き


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