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2004/12/07(火)
本・銭形平次捕物控(七)『平次女難』野村胡堂
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この巻には八五郎がまったく出てこない話があったり、捕り物というよりは人情話めいた話があったりと、これまでとは少し赴きの違う作品が収録されていました。
『平次女難』 表題になっている作品。身投げをしようとしていた美女・お楽を平次は自分の長屋に連れて帰り、正妻の静を里に帰してしまいます。そこに馴染みのお品、静とかつて平次を争って負けたお町が乗り込んできて、平次を囲んだ三すくみの争いが・・・。
『巾着切りの娘』 かつて巾着切りをしていた彦兵衛の娘・お富が輿入れ間近、相手の男が集金してきたお店のお金・三百八十両を巾着切りに盗まれてしまいます。二人で川に身投げをしようとしていることろを止めた平次は、お富を彦兵衛のところまで連れて帰ります。話を聞いた彦兵衛は、手口からかつての仲間・東作の仕業とあたりをつけ、直談判に。ところが東作は、金を返して欲しければ娘のお富を嫁にくれといいだします・・・。
『振袖源太』 川に飛びこもうとしていた老人を助けた平次。話を聞いてみると、呉服屋「福屋善兵衛」の五人の子供たちが、五のつく日に次々と拐かしにあっているということを知ります。その老人は、三番目の娘のお供をしていたのが、帰り道にまた行方不明になってしまい、おめおめと店に帰る顔がないというのです・・・。 (この話、八五郎が出てきません)
昨日、島田荘司の『寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁』がドラマ化されてテレビで放映されていました。 これは吉敷刑事シリーズの第一作。私は吉敷ものはこれ一作しか読んだことがないのですが、懐かしさにかられて途中まで観てみました。(ちなみに吉敷刑事役は鹿賀丈史) 冒頭、覗きをしていた男が風呂場で顔の皮を剥がれた女性の死体を発見する、というくだりは良く覚えていたのですが、細部の記憶に至ってはかなりあいまいです。このミステリのキモは、その発見された女性が死亡していた時刻に、「はやぶさ」の車内で第三者に目撃されていた、という点なのですが、うり二つの人物が登場したところで、「そういえば本編を読んでる時も、ここで興が失せてしまったよなぁ」そんなことを思い出しました。 ドラマの途中、北海道で吉敷刑事が別れた妻と再会するというシーンがあって、こんなの原作にあったかな?と気になって、何年かぶりに文庫をチェックしてみました。 すると、妻と再会するシーンの有無よりもその文章。こんな文章だったのかと、いまさらのように驚いてしまいました。固いというかなんというか。野村胡堂の流れるような調子とはずいぶん違います。 若い頃は文章なんてあまり気にせずにいろいろ夢中になって読んでましたが、目がうがってきてしまったんですかねぇ・・・。
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