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2004/12/16(木)
落語・『時そば』『初天神』柳家小三治
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先日、友人のSから封書が届きました。封書を開けると、中味はPCカード。CD−Rドライブが不調のために代わりの記録媒体を送るとは聞いていたのですが・・・。 さっそくスロットに差し込んで読み込んでみると、それはMP3で記録された小三治の『時そば』と『初天神』でした。
『時そば』 寒い冬の夜、屋台のそばを食べながら、しきりとお世辞を言う男がいます。ところが食べ終わって代金の16文を払うのに、「ひい、ふう、みい、」と一文ずつ渡していき、「七つ、八つ、今何時だい」と聞いて、そば屋の主人が「九つ時で」と答えると、「十、十一、十二……」と一文ごまかしてしまいます。 この様子を見ていた男が、自分もやってみようと考えて、日を改めて屋台のそばを頼みます。ところが同じようにお世辞を言おうにも、このそば屋がひどいそば屋。そばは柔らかいし、汁はまずい、器はかけているという始末。それでも強引に褒めて、いよいよお代を払う段になったのですが……。
非常に知名度の高い噺です。同じ展開を何度かくり返して、一度目はうまく行くのに二度目は全部裏目に出る……というパターンは落語ではよくあります。 以前、柳家花禄で聴きました。若さゆえか勢いがあって、とっても面白かったです。小三治はそれとは逆に、実に落ち着いた芸達者ぶりで聴かせてくれました。
『初天神』 熊さんが初天神へ出かけようとすると、息子の金坊が外から帰って来て、連れていってくれとせがみます。 絶対物をねだらないと約束させて連れて出すのですが、「おねだりしないで良い子だったから、褒美になんか買っておくれよ」と駄々をこね始めます。 最初はあめ玉、次に団子、最期に凧を買う羽目になりますが、凧を揚げようと川原へ行くと……。
『初天神』はどこでも切れる重宝な噺なので、よく寄席でかかります。ただ、私はあまり好きな噺ではありません。子供を上手に演じている噺家さんが少ないからです。どうも金坊がイヤな子供に見えてしまう。 ただ、さすがに小三治のは笑いました。MP3プレイヤーに落として寝る前に聴いたのですが、部屋の電気を消して、ベッドに横になりながら時々ゲラってる三十路半ばの男は、はたから見たらかなり危ないものがある気がします。 それから、落ちまで演ってるのを聴いたのはこれが初めてでした。子供にせがまれて嫌々買ったはずの凧を、いざ上げ始めた途端にはまっていく熊さんが最高です。
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