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2004/11/25(木)
映画・『ハウルの動く城』監督/宮崎駿
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思ったことをそのまま書きつらねてみます。
大恋愛映画です。それも『なかよし』系の少女マンガのような。ということは、宮崎監督は小学生から中学生にかけての夢見がちな女の子を対象にこの作品を作ったのでしょうか。まぁ、最近は少女マンガの好きな夢見がちな男の子も少なくないですが。
前半は単純に「凄い」と思いました。見事なファンタジィの世界を現出したなぁ、と。 中盤から展開が強引になってきて、筋がかなりあやふやというか、いったりきたりというか、前に進んでいるんだかいないんだかわからない感じになりました。 ラストは大恋愛ロマンでまとまりました。
この作品、子供や中高老年層は果たして面白いと思うのでしょうか。宮崎監督の名前でかなりの観客が入っているようですが、その中に本当に満足した人はどれくらいの割合なのでしょう。疑問に思います。そういう意味ではもっと対象年齢をきちっとしぼった方が良いのではないかなぁ、と思いました。八方美人をしようとすると、いろいろなところに齟齬が出てきます。
敵と味方の区別がどんどんなくなっていくのは宮崎作品の特徴ですが、今回の作品ではかなり説得力がない気がします。最期に戦争をやめる理由もかなりいい加減。途中の戦火に包まれる街の描写が陰惨なだけに、こんな簡単に戦争終結がなるのなら、これまでの物的人的被害はなんなんだと思えてしまいます。
恋する女の子が主人公・ファンタジィ・戦時下・ヒーローがデモーニッシュに染まっていく等々、非常によく似たような他のアニメ作品に『天空の城エスカフローネ』があります。こちらの方がテレビ・シリーズで長かったぶん、説得力がありました。 最初、ちょっとブスだつた主人公のソフィは、最期は宮崎ヒロインの基本形(クラリス・ナウシカ)になりました。おさげ髪を切る、というのは『ラピュタ』のシータでもあった演出ですが、女性の自立や大人への成長を暗示しているのでしょうか。
結論からいうと、個人的には前作『千と千尋の神隠し』の方が良い出来の作品だったと思います。アニメーションとしての動きも期待していたほどではなかったですし、いろいろな意味でこれまでの焼き直しが多い。一つくらいは「新しい挑戦」が見たかったです。動く城の描写にしても、同じモチーフの大友監督作品、『スチーム・ボーイ』の方が上でした。(日記の7月27日に詳細)
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