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2004/11/13(土)
本・ローマ人の物語13『ユリウス・カエサル ルビコン以後(下)』 塩野七生 新潮ハ
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カエサル暗殺から、ローマ帝国初代皇帝となるオクタヴィアヌスが政敵アントニウスとクレオパトラを倒すまでが書かれています。
旧体制を復活させようとカエサルを暗殺したブルータスら14人の元老院議員でしたが、ローマ市民の指示を得られず、それどころか憎しみを買うことになって、ローマを脱出することになります。 さて、カエサルの遺言状を確認すると、後継者として指名されていたのは若干19才のオクタヴィアヌスでした。オクタヴィアヌスは政敵となるアントニウスとまずは手を組むことにし、これにレピドゥスを加えて『第二次三頭政治』を立ち上げ、カエサルを暗殺した一団を粛正していきます。 首謀者ブルータスの死後、オクタヴィアヌスとアントニウスとの対立は深刻になり、ついにはクレオパトラと手を組んだアントニウスとの軍事対決にまで発展。雌雄を決するためにアクティウムの海戦が行われるのです。
カエサルとは実に魅力的な人物です。 世にたくさんの魅力的な英雄たちはおりますが、人の能力を見抜く力に優れていたという点においては、カエサルほどのものがいるでしょうか。 オクタヴィアヌスは、カエサルとは妹の娘の子、という関係です。このまだ特に実績もない若者を、自分の有能な側近たちをさしおいて、カエサルは早々に後継者に指名していた。これには周りも驚いたでしょうが、オクタヴィアヌス自身も驚いたのではないでしょうか。 オクタヴィアヌスは決してパーフェクトな人物ではなかったようです。胃弱で病気がちだったようですし、軍事的な才能もありませんでした。カエサルはそれもちゃんと見越していて、軍事的な才能のある同年代の者、アグリッパを補佐として彼につけてすらいます。 実際、オクタヴィアヌスはカエサルの期待に見事に応えました。カエサル流のやり方はしませんでしたが、きちんとカエサルの意志を組み、1000年帝国の礎を築いたのです。
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