ロバの耳
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2004/11/12(金) 本・『エンド・ハウスの怪事件』アガサ・クリスティ 厚木淳訳 創元推理文庫
 中越地震のせいで、もう三週間も「NHKアニメ・名探偵ポアロとマープル」が先送りになっています。
 放送予定だった『エンドハウスの怪事件』、読んだことがなかったので楽しみにしていたのですが、もう我慢できずに読んでしまいました。
 クリスティはずっとハヤカワ・ミステリ文庫で買っていたのですが、最近それがアガサクリスティ文庫とかいうものに変わってしまい、揃えている意味がなくなってしまいました。だから創元の方で買いました。ハヤカワより値段が安いので。

「イングランド南海岸の風光明媚な海浜にあるエンド・ハウス。そこの当主である若く美しい娘のニックは、このところ再三にわたって奇妙な事故に遭遇し、あやうく命拾いをしたところだった。たまたま保養のために来合わせて、この話を小耳にはさんだ名探偵ポワロ。彼の灰色の脳細胞が動き出した。ポワロの眼前で大胆不敵に遂行された狙撃未遂を契機にして彼は本格的に事件にとり組みはじめた。しかし、ときすでに遅く、はやくも最初の犠牲者が血祭りにあげられてしまった。完全犯罪をもくらむ姿なき犯人は?」
──文庫本のあらすじより

 この『エンド・ハウス』は初期の傑作なのだそうです。
 ところが作品中に『アクロイド殺し』に携わったという記述が出てきます。『アクロイド殺し』では確かポアロが引退を考えていたはずで、この『エンド・ハウス』でもポアロが「仕事から身を引く」という話題を口にしています。それなのに初期なのか?と疑問に思い、ちょっと作品の発表順序をチェックしてみました。

 そうしたら……まぁ、ポアロ・ファンには常識的なことなのでしょうが、びっくり。
 ポアロのデビューが『スタイルズ荘の怪事件』で1920年。長編2作目は1923年の『ゴルフ場殺人事件』。そして3作目が1926年の『アクロイド殺し』なんですね。『アクロイド殺し』って、そんなに初期の作品だとは思ってませんでした。実はこれがクリスティの出世作だったんですね。
 で、人気が出たのでしょう。27、28年とたて続けに一作ずつ発表して、32年に本作を発表したわけです。
 ポアロ物の長編は全部で33作書かれています。そのうちの6作目ですから、確かに初期ですね。

 さて、読んだ感想なのですが……いかにも「ミステリ」という感じの作品でした。伏線やら動機やら、意外な犯人やらがぎっしり詰まっております。(もっとも、『アクロイド』で驚かされた読者がこの程度の犯人を意外と感じたかどうかは疑問ですが)
 残念ながら、ここ数年、この手の作品は楽しめなくなってしまっています。やっぱり、クリスティは後期の方がいい。犯人の意外性よりも、動機に深みがある方が面白いです。
 


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