ロバの耳
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2004/10/21(木) 穴まどい
 俳句における、仲秋の季語。
 蛇が冬眠のために穴に入ること。同類・蛇、穴に入る。先月の松吟句会のお題の一つ。

 秋から冬へと移り変わるこの時期。
 いつも悩んでしまうのは、カメをいつ冬眠させるか、です。
 夏の間、カメは水を張った透明な衣装ケースの中に入れているのですが、これを冬の間は腐葉土を入れたケースの中に移します。カメはその土の中に潜って冬を越すのです。
 問題はそのタイミング。水と土、これを一緒にしておければカメが自分で好きな時に眠りに入れるのですが、その工夫ができないので、人側がカメの眠そうな様子を見計らって移し替えることになります。
 うまくタイミングが合えばいいのですが、そうもいきません。「もう寝なさい!」と怒られてもなかなか布団に入らない子供のように、カメは数日の間、ケースの中でごそごそしていることになります。
 うちの場合、まどうのはカメではなく、もっぱら人なのです。

2004/10/20(水) 恥ずかしい勘違い
 日曜日に放映された『名探偵ポワロとマープル「青いゼラニウム」』、内容について私はとんでもない勘違いをしておりました。
 仮にも公の場に文章を出す時は、確認しないで記憶だけで語るのはよくないですね。謹んでお詫び申し上げます。
 (まぁ、こんな謝罪をしなければならないほど、この「ひとりごと」を深く読み込んだりしている方はいらっしゃらないでしょうけれど)

 問題の箇所は、「トリックが紫陽花にも応用がきく」というくだりです。(本文の方はもう削除しました)
 紫陽花は土の性質によって花の色が変わるそうなんですね。そのことが手がかりとなってそこに死体が埋められているということがわかる他のミステリと、『青いゼラニウム』とを勘違いしていたのです。
 『青いゼラニウム』の方は、本物のゼラニウムが色を変えるのではなく、壁紙に描かれている花の色が変わるお話でした。大変失礼いたしました。

 次回はポアロもので『エンドハウス怪事件』。これが三話かけて放映されます。

 実は私はこの作品、読んだことがありません。というか、ポアロものは読んでない作品のほうが多いのです。『オリエント急行』『アクロイド殺し』『カーテン』など、メジャーどころには目を通したのですが。

 ちなみにこの作品、創元推理文庫と新潮では『エンドハウスの怪事件』、ハヤカワ・ミステリ文庫では『邪悪の家』となっています。もっぱらハヤカワでクリスティをチェックしていた私には、二重に聞いたことのない作品名でした。

 この『エンドハウス』では、声優に中山忍が初挑戦するそうです。
 『八墓村』の時もこの方を話題にしましたが、とりたててファンというわけではありません。ただ、平成版『ガメラ』にご出演されていたのを見て以来、名前が出るとひっかかる役者さんではあります。

 しかし……私としては、この『エンドハウス』よりも、その次に予定されている作品の方が楽しみでなりません。というのは、なんとマープルものの長編『パディントン発4時50分』を、数回にわけてやってくれるそうなのです。
 かつて私は、マープルものの長編中ではこの『パディントン』をなぜか最高傑作だと思いこんでいた時期があって、特に何度も読み返したりしていたのでした。今思うと、どうしてそんなにこだわったのか不思議なのですが。

 併走した汽車のコンパートメントで行われている殺人を目撃する夫人。しかし、その通報を聞いた車掌は頭から信じようとしません。そこで夫人は友人のミス・マープルに相談します──。

 見られるのは三週間も先です。
 でも、長編はポアロの方が良いという評判ですし、ネタも知らないので、『エンドハウス』にも期待したいと思います。


 

2004/10/19(火) 『たいこ腹』 三代目林家染丸
 ラジオ名人寄席は始まる時に玉置宏の口上があります。「残しておきたい○○情緒、下座のお囃子寄席登り……」というのがそうなのですが、○○の部分に江戸が入るか上方が入るかで、その日の落語が東か西かがわかります。

 今日は久しぶりに上方落語でした。

 上方落語というのは聴く機会が少ないうえに、関西の方には悪いのですが、やっぱり同じ落語を聴くなら江戸落語と思ってしまいます。古典落語の話自体は関西が元、というものばかりなのですが、どうも関西弁の語りは軽いというか、けれんがあるというか。私が地味好みなのかもしれませんが。
 上方というとやはり漫才というイメージがあります。逆に東京の漫才で好きなコンビは少ないです。いとしこいしかのいるこいるくらい。
 でも、完全に拒絶しているというわけでもなくて、今日のように上方落語の時でもちゃんと耳は傾けますし、毎週金曜日の上方演芸会で時々やる現役の噺家の落語を聴いたりもしています。

 でも、実は『たいこ腹』という話に限っていえば、私は上方のバージョンの方が好きなのです。
 というのも、まだ落語を聞き始めたばかりの頃、同じ「ラジオ名人寄席」でだったと思うのですが、上方の噺家の、むちゃくちゃ面白い『たいこ腹』を聴いたからです。残念なことに、その噺家が誰だったのかはわからないのですが、仕事をしながらイヤホンで聴いていた私は、辺りをはばからず大笑いしてしまったのでした。
 幸か不幸か、自分にとってツボにはまってしまった話を聞いてしまうと、それが以後の面白さの基準になってしまいます。以降、私は満足のいく『たいこ腹』を聴いたことがありません。
 ですから、上方落語で『たいこ腹』というと、「これはもしや、あのときの話なのでは?」という期待を抱いてしまうのです。

 「たいこ腹」とは、繁八という幇間(関東では一八)が、鍼に凝った若旦那に頼まれて、嫌々ながらも腹に鍼を打たせるというお話です。

2004/10/18(月) 『まぬけ泥』 五代目柳家小さん
 ラジオ名人寄席は故人しかやらないので、現役で見た方というのはほとんどいなかったのですが、小さん、志ん朝辺りがぼつぼつと出てくるようになりました。嬉しいような、悲しいような。

 『まぬけ泥』は『花色木綿』とか『出来心』という噺の前半部分のみをやる場合につけられる題名のようです。筋は全く同じですから。

 なにをやってもうまくいかないので、「泥棒でもやるか」、というでも泥≠ェ、それでもうまくいかずに親分に破門されかかります。「もう一度、誠心誠意を込めて泥棒をする」というので、空き巣狙いを教わりますが、本番ではやっぱりドジなことばかりしてしまいます。

 大好きな噺です。こういうまぬけな噺を小さんや小三治がやると最高です。

 一度、小三治で『まぬけ泥』を見て、「ああ、最後までやってるのが見たい……」と恋い焦がれていたら、数ヶ月もしないうちに見に行った「第二回えびす寄席」できっちり『出来心』としてやってもらえたときは感激しました。

 「えびす寄席」は柳家花禄、柳家喬太郎、林家たい平という、私が今の落語界で最も好きな若手三人が出演するという夢のような会でして、第一回のゲストが小さん、第二回のゲストが小三治だったのでした。

 はたして今も続いているのでしょうか。

2004/10/17(日) ローマ人の物語『ユリウス・カエサル ルビコン以後(上)』塩野七生 新潮文庫
 「元老院最終勧告」を無視してルビコンを渡り、反逆者となったカエサル。いよいよ「内乱記」に記述された事態の始まりです。
 その電撃的な侵攻の前にポンペイウスを初めとする元老院派は首都ローマを捨て、イタリアを脱出、ギリシアへ向かいます。
 ポンペイウスを逃してしまったことで、長期戦を余儀なくされたカエサル。しかも、ポンペイウスの地盤である地中海沿岸世界は食物も豊富。
 物量的に見れば圧倒的に不利なカエサルですが、首都ローマにおける政治的な効力は存分に発揮し、独裁官から執政官へと就任。賊軍から正規軍への転身を成し遂げます。
 そしてスペイン戦役で西の不安を取り除き、いよいよポンペイウスの本拠であるギリシア攻め。ところがそこで二つの不幸が彼を襲います。二人の部下の率いていた軍がそれぞれ全滅させられてしまうのです。
 兵糧、軍勢、さらには海を渡るための船の数など、遙かにポンペイウス軍を下回る圧倒的に不利な状況で、カエサルはギリシアへとポンペイウスを撃って出ます。ところがまさに窮地の連続。カエサルは起死回生のため、会戦にポンペイウスを誘いますが、持久戦で相手の消耗を狙うポンペイウスはその挑発にのりません。
 しかし、ついにはカエサルの罠にはまり、ファルサルスの平原にひっぱり出されるポンペイウス。
 ポンペイウス軍「歩兵四万七千、騎兵七千」対カエサル軍「歩兵二万二千、騎兵一千」。ついに「内乱記」最大のクライマックス、ファルサルスの会戦の火ぶたが切って落とされるのです。

 寡兵が大兵を討った有名な戦いは、このファルサルスの会戦までに三つ行われていました。

 一つ目はアレクサンダー大王が三万一千の歩兵、七千の騎兵でペルシア軍十五万を破ったイッソスの会戦。
 二つ目はハンニバルが歩兵四万、騎兵一万で、ローマ軍歩兵八万、騎兵七千二百を破ったカンネの会戦。
 三つ目がローマ軍・スキピオが歩兵三万四千、騎兵六千で、歩兵四万六千、騎兵四千、戦象八十頭のハンニバル軍を破ったザマの会戦。

 この三つの戦いに共通しているのは、勝者側は総兵数では劣るものの、騎兵数では勝っているという点です。
 実はこれが近現代戦にまで通じる、アレクサンダー大王が創始した、機動力部隊による包囲殲滅戦術なのでした。
 下の略図を参考にして欲しいのですが、機動力はないものの防御力に優れた重装歩兵たちが前面の敵を支えている間に、機動力のある騎兵が敵の背後に回り、最終的には周囲から包み込むようにして敵を殲滅しているのがわかると思います。これを行うと、敵には甚大な被害が出て、味方はほとんど無傷という結果が出るのです。時代が下って日露戦争や第一次大戦のころなどは、互いに相手の側面から回りこもうとして、戦線が横へ横へと伸びていくという現象が見られるようになるほどです。
 ところが。カエサルが戦うことになったファルサルスの会戦では、騎兵の数はポンペイウス軍が遙かに上(7対1)。しかも、ポンペイウスは当然上記三つの戦いを熟知しています。さらにはガリア戦役時代のカエサルの副将で、彼の戦術を熟知しているラピエヌスがポンペイウス軍騎兵部隊を率いているのです。
 この必敗の条件下、はたしてカエサルはいかなる戦術を編み出し、自軍を勝利へと導くのでしょうか?
 ……それは未読の方のために、あえて伏せたいと思います。
 

2004/10/16(土) 三年B組金八先生 第七シリーズ
 昨夜のことになりますが、TBS系のドラマ『三年B組金八先生』の第七シリーズが始まりました。

 第五、六シリーズにははまっていていました。
 理由は出てくるキャラが気に入っていたからです。第五シリーズでは物語のキーマンとなった、ジャニーズの風間俊介演ずる兼末健次郎、第六ではいま人気絶頂の上戸彩演ずる鶴本直が気に入っていました。

 二年ぶりの今回のシリーズは、実はあまり気乗りがしていません。一応、一回目放送はチェックしましたが。

 史上最悪の「3-B」のうたい文句の通り、クラスはめちゃくちゃ、生徒たちには金八スタイルはもはや通用しません。そこに良識のある生徒は存在しないのです。金八も産休した先生の代役という意識も手伝ってか、生徒たちに愛想をつかしています。
 今回のシリーズで取り扱われる社会問題は、ドラッグ、母親による虐待、知恵遅れの女子生徒。全体に漂う憂鬱な暗さを、海援隊の歌う新主題歌が象徴しているようです。

 スペシャルである2時間枠の初回を見て感じたのは、これという生徒がいないこと。兼末も鶴本も、一発目で見てそのキャラに惹かれるものがあったのですが。

 正直、次回が楽しみ、という感じはしません。ドラマ低調に対する窮余の策としての金八復活なのでしょうが、はたして期待ほど視聴率がとれるでしょうか。

 父の絵

 私は父も、父の絵も決して好きではありません。

 ただ、親戚に頼まれて描いたこの新作は、これまでになく好みの絵でした。

 私は絵画は、画家が若い時に描かれたものよりも、年をとってから描かれた物の方が好きな場合が多いです。
 それが父の場合にも当てはまったのでしょうか。

 ちなみに、退職後の父は自然木で作った植木鉢を作って余暇を過ごしています。
 それらは青根温泉の土産物屋やフリーマーケットなどで良く売れているようです。


─夏の朝・油彩・50号─

2004/10/15(金) とても見たい映画
 今のところ、東京でしかやっていないとても見たい映画があります。
 今日の朝日新聞にも紹介が出ていましたがピエロの赤い鼻というフランス映画です。

 14才のリュシアンは、父親のジャックが毎週日曜にピエロの真似事をするのが大嫌い。学校教師の父が、みんなの笑いものになるのを我慢できないのです。今日もお祭り会場で、不機嫌そうにピエロ姿の父親を見つめるリュシアンに、ジャックの古い親友・アンドレが声をかけます。
「お父さんがピエロになる理由を知ってるかい?」
 それはまだ、フランスがドイツに占領されていた頃。リュシアンの知らない、美しくも悲しい記憶でした……。

 監督は『クリクリのいた夏』のジャン・ベッケル。
 はたして仙台でもやってくれるでしょうか。


 

2004/10/14(木) 銭形平次捕物控(五)『金の鯉』 野村胡堂 嶋中文庫
 この巻には女性の拐かしや神隠しと言ったネタが多く、昭和初期によく書かれたような妖しくSMチックな雰囲気にはちょっと閉口しました。

 「二度死んだ男」

 吉原に小判を降らせるという大通気取りの大徳屋孫右衛門が、自分が死んだら誰が悲しむだろうという狂言芝居を打ちますが、隠れていた納戸の中で刺殺されます。はたして犯人は?

 「金の鯉」

 芸者・幇間を引き連れ、白粉臭い生きた屏風に取り巻かれて一本千両の竿に高尾、小紫の生き毛をつけ・・・。
 江戸の大通万両長者伊勢屋新六が本所竪川で釣りをしているうちに、何者かに水中へと引きずり込まれます。もっぱら河童にやられたという噂。引き上げられた伊勢屋は死に際に金の鯉≠ニ言い残していました。

 「呪いの銀簪(かんざし)」

 若くて美しい芸妓が銀簪を深々と右目を刺されて殺されます。必死に下手人を捜す平次。しかし、お縄にできないうちに同じ手口によって犠牲者が二人、三人、四人と増えていきます。どれも若くて美しい女ばかり。はたして犯人の狙いは・・・。

他七編

2004/10/13(水) 猫のみゅん逝く
 ついにこの日が来ました。
 昔から、私を祟ってもいいから、しっぽが二股に割れるまで生きてくれと頼んでいたのですが、割れる前に逝ってしまいました。

 一瞬間ほど前から極度に食が細くなり、卵の黄身くらいしか食べられなくなっていました。

 一昨日までは、風呂に入ろうとする私の後をくっついてくる元気がありました。風呂の板に載せてやると、バスクリン入りの風呂のお湯をしきりに飲んだりしました。
 深夜に私がキッチンに水を飲みに行くと、いつもそうなのですが、無理しなくてもいいのによろよろと猫ベッドから起き出してきたので、一通り櫛でとかしたり腹を撫でたりしてやりました。

 昨日の朝は、もうずっと家の中から外には出ていなかったのですが、しきりと外に出たがったというので、早くから父親と一時間ほど畑の方に散歩に出かけてしまっていて会えませんでした。
 夜に仕事から帰って猫ベッドを覗くと、もう瞼が閉じなくなっていて、私が声をかけても腹を撫でてもにゃんとも言わず、うっすらと膜の浮いた瞳はどこか遠くを見ていました。
 夕方やはり母と散歩にでかけたそうなのですが、途中で倒れてしまったそうです。
 まだ息はしておりましたが、もう私のことはわからないようでした。便で汚れた尻を母と拭いてやりました。

 深夜、私は微かな期待とともにキッチンに水を飲みに行ったのですが、さすがにもうベッドからは出てきませんでした。寝ているのを櫛でとかしてやると、微かに顎をあげたりする反応が見られました。

 今朝は最後に父がもう一度畑に連れて行ってやったそうです。畑につくと下に降りたがったので、降ろしてやるとよたよたと2メートルほど歩いたそうです。そして、家に帰ってきてから息をひきとりました。

 私は精神的、体力的に疲れると、よくみゅんに甘えさせてもらいました。彼女を撫でていると、心が安まったのです。それでずいぶんと助けてもらいました。

 彼女は今、ベッドの中で菊の花に飾られて、静かに眠っています。とても可愛い寝顔です。
 18年間、ご苦労様でした。ありがとう。また会おうね。

 

2004/10/12(火) 『孝行糖(2)』三代目三遊亭金馬 『婦系図』 初代 柳家三亀松
 やっぱり名人上手と呼ばれる落語家は、キャラのやりわけが見事です。
 志ん生のCDなど聴いていると、一人でやっているのはわかっているのに、いつのまにかそれぞれのキャラを別々に認識させられている自分に気が付いて、驚かされます。
 金馬もその点ではひけをとりません。『孝行糖』でも、周りの人間と主役のバカのキャラの演じわけが見事。これができていないとどんな話でもイマイチ面白くない。逆にどんなにつまらない話でも、聴かせられる人には聴かせられてしまいます。

 初代の三亀松は、今日、初めて認識した芸人さん。
 1901年、材木問屋に生まれたのですが、生来の芸事好きが高じて幇間になります。それが大正年間に素人の芸人集団に混じってちょこちょこ高座に出るようになって、やがて認められてプロになったのだそうです。
 今日の話も艶笑落語で、長唄・都々逸をおりまぜて面白おかしく語っておりました。とにかく女性の声色が艶っぽい。ご自身でも、戦時中は自分の「あんた」という呼びかけが卑猥で、検挙されたことがあるなどと言っておりました。

 

10月絵日記の続き


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