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2004/10/26(火)
『道具屋』三代目 桂三木助
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名人と言われた三代目三木助の『道具屋』です。
『道具屋』は落語のスタンダードナンバー。小咄がたくさん集まって作られた前座噺で、短くしたり長くしたりが自由に利き、時間調整にもってこいということで、重宝されているようです。
何事も最初というのは肝心ですよね。 自分の意志で行った最初の寄席、落語家の名前も知らずに入った上野鈴本のとりが、たまたま柳家花禄だったのは私にとっては大変な幸運でした。そこから落語にはまっていったのですから。 逆に、この『道具屋』を初めて生で聴いたのが入船亭扇橋だったのは不幸だったかもしれません。 扇橋の語りは私にはちょっとテンポが遅く、聴いていると眠くなってしまいます。そのせいで私はどうも『道具屋』というと、つまらない噺というイメージを持ってしまっているんですね。実際はくすぐりの多い楽しい噺なのですが。(同じ理由で『初天神』もどうもイメージが良くない。でも扇橋って、三木助の弟子だったはずなんですけれど) もっとも、『道具屋』のイメージが悪いのは、扇橋のせいばかりではないかもしれません。基本的には前座噺ですから、やっぱり前座や二つ目がやることが多い。それでつまらなく感じてしまう機会が多かったのかもしれません。(先日の小三治と歌丸の二人会でも前座で三三がやってましたし。これは割と聴けましたが) でも、さすが名人がやると違うんですね。しみじみ落語は噺家次第だと思いました。実に楽しませてもらいました。
時に、この三代目の桂三木助の跡を継いだ四代目三木助は、三代目の長男でした。 この方、数年前に自殺されてしまったんですよね。まだお若かったのに。死の直前は高座を無断で休むことがあったり、深酒や睡眠薬の使用もあったとか。先代名人にくらべられることがプレッシャーだったとも、同年代の成長に焦りを感じていたという話もあります。残されていた「私の力の無さを痛感する」というメモが、それを裏付けているのかもしれません。 生前の高座を一度だけ見たことがあります。『湯屋番』でした。私は面白かったですけれどね。 十代目鈴々舎馬風が『会長への道』で、三木助を成田離婚のネタにしていました。今はあの部分はカットしているのでしょうか。
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