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2004/10/19(火)
『たいこ腹』 三代目林家染丸
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ラジオ名人寄席は始まる時に玉置宏の口上があります。「残しておきたい○○情緒、下座のお囃子寄席登り……」というのがそうなのですが、○○の部分に江戸が入るか上方が入るかで、その日の落語が東か西かがわかります。
今日は久しぶりに上方落語でした。
上方落語というのは聴く機会が少ないうえに、関西の方には悪いのですが、やっぱり同じ落語を聴くなら江戸落語と思ってしまいます。古典落語の話自体は関西が元、というものばかりなのですが、どうも関西弁の語りは軽いというか、けれんがあるというか。私が地味好みなのかもしれませんが。 上方というとやはり漫才というイメージがあります。逆に東京の漫才で好きなコンビは少ないです。いとしこいしかのいるこいるくらい。 でも、完全に拒絶しているというわけでもなくて、今日のように上方落語の時でもちゃんと耳は傾けますし、毎週金曜日の上方演芸会で時々やる現役の噺家の落語を聴いたりもしています。
でも、実は『たいこ腹』という話に限っていえば、私は上方のバージョンの方が好きなのです。 というのも、まだ落語を聞き始めたばかりの頃、同じ「ラジオ名人寄席」でだったと思うのですが、上方の噺家の、むちゃくちゃ面白い『たいこ腹』を聴いたからです。残念なことに、その噺家が誰だったのかはわからないのですが、仕事をしながらイヤホンで聴いていた私は、辺りをはばからず大笑いしてしまったのでした。 幸か不幸か、自分にとってツボにはまってしまった話を聞いてしまうと、それが以後の面白さの基準になってしまいます。以降、私は満足のいく『たいこ腹』を聴いたことがありません。 ですから、上方落語で『たいこ腹』というと、「これはもしや、あのときの話なのでは?」という期待を抱いてしまうのです。
「たいこ腹」とは、繁八という幇間(関東では一八)が、鍼に凝った若旦那に頼まれて、嫌々ながらも腹に鍼を打たせるというお話です。
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