Diary in 日高
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最新の絵日記ダイジェスト
2009/07/12 この日に
2009/07/11 会いたかったよ!
2009/07/10 旅行決行
2008/11/03 もう一度
2008/11/02 雨と晴れの一日に

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2003/08/14(木) 最後の日に...
最終日。今回も同じルートで空港まで行くつもりである。唯一心配なのは、被害がひどかった平取町がどうなっているのか。もしかしたら、今回はスズちゃんに会いに行けないかもしれない。それでもとにかく行ける所までと思いながら新冠を出発した。

来る時には迂回になっていた厚別川にかかる橋も、帰りはそのまま通ることができた。復旧の早さに驚くと共に、お盆を返上して工事に当たっている方達に頭が下がる思いであった。順調に平取の町までは入ることができ、いつものお花屋さんで花束をお願いする。作っていただいている間に、被害の様子をうかがったが、ダムに近いところでは今だに道路が遮断されていて、入っていけないとのことだった。お花屋さんのある街の皆さんも避難をし、鳴り響くサイレンの音に不安な時を過ごしたとおっしゃっていたが、その恐怖感たるやどれほどのものだっただろう。

空はいつになくどんよりとしていた。いつもの平取は絶対晴れなのに。もしかしたら本当に今回は無理かもしれないと心をよぎった。義経神社を通り過ぎ、目の前に稲原牧場さんが見えたときには唖然としてしまった。いつもはお馬さん達が悠々と過ごしている放牧地が、泥で埋まっている。お墓へ通じる道は、沙流川から上がったのか、それとも後ろの沢から流れてきたのか、小さな流木がいたるところに。車をとめて入っていけるかどうか見ていると、もう一組お墓参りに来ていた方達が、ここからは無理なので、牧場さんの敷地を通ってお参りしてくださいと言われたことを教えてくれた。私の大好きな場所が、こんなにも被害にあっている。胸が押しつぶされそうに苦しかった。

お言葉に甘えてお墓参りをさせて頂くことにし、花とニンジンを持って車から出た途端、さっきまでのどんよりした空とはうって変わって、お日様が顔を出し青空が広がっている。お墓の前に着くと、そこだけはいつもと変わらない、きれいな緑に囲まれた優しい表情だった。青空の下お祈りをし、ふと目を空けた瞬間、そこに栗毛のお日様がいてくれるような錯覚を起こした。お墓まであともう少しのところまで、流木は迫っていた。お墓だけが守られていたかのように、花に囲まれ静かに佇んでいた。まるで不思議な力が、その場所だけは彼の輝いていた栗毛のように美しいままにしていてくれたかのように。ずっとそこにいたい気持ちを抑え、ご迷惑にならないように少しだけお邪魔をして帰ることにした。その間ずっと晴れていた空から、「また来てくれたんだね。」と声が聞こえたような気がした。何度でも来るよ。私の大好きなあなたに会いに。あなたが生まれ育った、私の大好きな場所に来たいから。どうか一日も早く、元のように美しい放牧地に戻りますように。牧場の皆さんを励ましてね。そうスズちゃんにお願いをしながら稲原牧場さんを後にした。

いつも通る平取から早来への道は、路肩が崩れたため通行禁止。国道を通って社台SSへ。今回は晴れて会員となったこともあり、ゆっくりと種牡馬の皆さまに会えることになった。案内をされて厩舎へ。そこには究極の美しさをたたえたお父さん達が。寝ワラ一つとっても、考えられないほどの贅沢。ふかふかのピカピカである。今まで会えなかったフジキセキやダンスインザダーク、きりりと顔をあげて「どうだい」とでも言いたげなアドマイヤコジーン。サンデーパパそっくりのマンハッタンカフェ。ため息がでるばかり。圧巻はやはり☆のパパ、トウカイテイオー様。ラッキーなことに、厩舎の外にいるパパに遭遇でき、立ち姿を撮らせていただいた。何でもパパのたてがみと尻尾のカットは、一番上手な方が担当しているとか。そりゃぁ、このかっこよさですものね。☆に見せるため、できる限りのアップで撮影した。本当にパパはハンサム。のんびりと過ごすノーザンテースト御大にも会うことができ、充実してあっという間の見学だった。

その後はお昼もかねてノーザンホースパークへ。ここではどうしても会いたいお馬さんがいる。5月に会えなかったカイザー君。前にいた馬房を見ると既に違う名前がかかっている。係の方に伺って、新しい馬房に行くと、カイザー君はのんびりとあくびをしていた。現役の時のイメージから、もっとカリカリしているかと思ったが、本当にのほほんとした顔つきでこちらを見ている。鼻をちょっと撫でさせてもらいながら、加茂さんのことや橋田先生のこと、それからスズちゃんのことを話した。ところどころ首を振っていたのは「うんうん」の意味だったのかな?でも本当に元気そうで、「カイザーじゃん」といいながら会いに来る人たちもたくさんいて、新しいお家でも幸せに暮らせそうでホッとした。

今回の旅のオーラスは、娘になってもらった1歳の女の子に会いに。エルコンドルパサーの仔である。一目見たときからどうしても気になって、清水の舞台から綱なしバンジーをするくらいの気持ちで出資を決めた仔。あの毎日王冠を一緒に走っていた、そして今もきっと一緒に走っているパサーの仔がほしかった。おじいちゃんがサンデーサイレンス様ということもあり、この娘さんは結構気が強そう。「レースでいい方に出れば楽しみですよ。」と言って頂き、期待は膨らむばかり。とにかく無事に調教をこなしてデビューの日を迎えてくれることだけが今の望みである。

今回もたくさんのお馬さんとたくさんの方達に出会った。この大変な中、どの方も私達を温かく迎えてくださった。どの馬達も私達に幸せな時間をくれた。皆さまに心から感謝である。来年の5月に戻ってくる頃には、また美しい日高に戻っていてほしい。どうか日高が一日も早く元気になりますように。そう願いながらいつものように「帰りたくな〜い!」を連発して、飛行機に乗った。

2003/08/13(水) 暖かな場所で
宿泊場所のAERUには、私が日高に来た時には必ず外乗のお供をしてくれたクレスト君がいる。今回も時間が無くて、一緒にお散歩はできないが、彼に会いたいとずっと思っていた。朝食もそこそこに、ラウンドアップと呼ばれるお馬さんの大移動を見学に行く。たくさんのお馬さん達の中でも、クレスト君はすぐわかった。放牧地に入ってご飯を食べている彼に挨拶。元気そうにパクパク草を食べている姿を見てホッとした。次回こそは絶対一緒にお散歩しようね。

この日のメインは何と言ってもネイチャたちに会うこと。渡辺牧場さんはいつお邪魔しても本当に暖かい。今回もはるみさんがたくさんニンジンを用意してくださって、早速ネイチャのもとへ。ネイチャは牧柵を蹴って、ちょっとお怪我中だったので、放牧地には入らず馬栓棒ごしにご対面。ご主人が私達のためにネイチャをピカピカにしていてくださったのだそうだが、既にネイチャは一部分が芦毛化していた(笑)。でも、どんな毛色になってもネイチャは本当にかっこいい。瞳の力が強くて、一度見つめたら目を離すのが大変だ。ニンジンを差し出すと、まるで手まで食べそうな勢いでボリボリ。もう牧柵蹴っちゃダメよ。早く怪我が治るといいね。

次は別の放牧地にいるミユキママとコユキちゃんに会いに。ママは新しいリーダーに気兼ねしながら、それでも私達が行くといつもの気品に満ちたお顔で迎えてくれた。他のお母さん達の手前もあって、今回はニンジンをあげることができなかったが、それでもママはしばらく私達のお相手をしてくれた。ミユキママは賢いから、新しいボスを立てながら上手に集団の中で生活しているらしい。ミユキママ、いつまでも美しくて優しいママでいてね。そのママから少し離れた場所で、一人黙々と草を食んでいるのはコユキちゃん。はるみさん曰く「争いごとを上手に避けるタイプ」だとか。他のお仲間は皆ずっと年上のお母さん達だから、遠慮をしながら過ごしているのかもしれない。5月に会った時もそうだったけれど、とにかく大人しいコユキちゃん。大きいくせに大きいものが結構苦手な主人も、コユキちゃんには自分から手を差し出して、ペロペロなめてもらっていた。それ以来口を開けば「コユキちゃんはめんこい!」である。でも、本当に愛らしい。来年お邪魔する頃には、もしかしたらママになっているのかな?

コユキちゃんたちとの別れを惜しみつつ、次はミサイル君の放牧地へ。実はミサイル君も現在休養中で、今回は少し小さなパドックで過ごしていた。先日セン馬になったミサイル君。でも、いつ会っても惚れ惚れするくらいのかっこよさ。ニンジンを食べている姿も凛々しい。差し出すニンジンを上手に、手を噛まないように気をつけて食べてくれているという感じ。日高から戻ってすぐに行く予定のフォスターホース展。そののDMになったミサイル君は、現役さながらのかっこいいフォームでそして楽しそうに走っている。5月に来る時は、ミサイル君が万全の体調でバンバン走っている姿が見たいな。それまで楽しみはとっておこう。

既に馴致のために移動してしまったと聞いていた、私の大好きなエンジェルちゃんが一度戻ってきていると聞き、ぜひ会いたいと連れて行っていただいた。とねっこちゃんの時に会ってから約1年半。すっかり大きくなったエンジェルちゃんは、それでも愛らしいお顔はそのまんま。ボス子ちゃんに気づかれないように(笑)、なぜかはるみさんも私も小声でエンジェルちゃんを呼び、ニンジンをこっそりあげた。ポリポリと可愛い音を立てて食べるエンジェルちゃん。どうか、こんなに可愛い子だから、とってもいい馬主さんにめぐり合って、幸せに生きていてほしい。デビューしたら絶対に毎回応援するからね。

時間の経つもの忘れて、たくさんのお馬さん達に会わせていただいた。とねっこちゃんたちの放牧地では、ミサイル君の最後の妹になる子にも会わせていただいた。どの子達も渡辺さんご夫妻からたくさんの愛情を受けて暮らしているのが良くわかる。今回もまた暖かい場所で、温かい気持ちにさせていただいた。「帰ります」と言うのが辛くなってしまうほど、居心地のいい牧場さん。それが渡辺牧場さんだ。また5月、元気な皆さんに会いに参ります。

2003/08/12(火) 浦河へ向かって
8月恒例、日高旅行の初日。ずっと楽しみにしていた旅だが、今回はあのすごい台風の後、しかもまだ被災された方達がたくさんいらっしゃる場所への旅だけに、はしゃぐ気にはなれなかった。訪問のお願いをしている牧場さんは大丈夫だろうか...。そう考えると、今日の天気のように気持ちは曇るが、とにかく浦河へ向けて出発することにした。

途中、増水しなおも濁流状態の川を横切る。被害がひどかった門別町・厚賀町・新冠町の辺りでは、道路に泥がかぶり、路肩にはなぎ倒され黒くなってしまった草花が...。この一帯に水が溢れた事実を伝えている。車の窓から見える景色は、いつもの優しいものとは全く違う、自然の脅威にさらされ、立ち向かっていかなければならない方達の辛さや厳しさのそれだった。一日も早く、大好きな日高がまた元気な町に戻ってくれますように、また犠牲になられた方達のご冥福と天国へと行ってしまった馬達や多くの動物達がどうか上の世界ででは幸せでいてくれるようにと祈りながら、3日間車を走らせた。
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今回もぜひ会いたかったお馬さん達が何人かいる。そのうちの一人が☆のファミリーのなかでも、今までは一般に見学が許可されていなかったシンボリルドルフ。☆にとっては偉大なおじいちゃん。初めてお会いするルドルフは、既に22歳だなんて信じられないほど、その馬体はきりりと引き締まりピカピカしていた。額の三日月がちょっと☆に似ているかも、などと親バカなことを考えつつ写真を撮らせて頂いた。

その後は鎌田スタッドさんへ。途中、訪問してもご迷惑にならないか電話をすると、台風の影響もほとんど無く、ユメウラナイママとチビちゃんは放牧中とのことだった。

奥様が笑顔で迎えて下さって、さっそくユメママとチビちゃんのいる放牧場へ。5月に会った時には本当に「チビちゃん」という感じだった今年の☆の妹さんはもう随分と大きくなっていて、見慣れぬ人間に興味を持ったのか、ポコポコと挨拶に来てくれた。その可愛いこと!悔しいのは何故だか主人の匂いが気に入ったらしく、私よりも主人にぴったりだったこと(笑)。それでも時々寄ってきては、服についているファスナーが珍しいのか、パクッとしてみたり...。そういえば、☆も同じように私のファスナーで遊ぶっけ。ユメママは、今お腹にいる仔と一緒に今年の秋には別の牧場さんへ行くことになるらしい。チビちゃんとの生活も本当にあとわずか。いっぱいママに甘えてね。ママの匂いを忘れないように、ママの温かさをいつまでも覚えていられるように...。

次に☆の2つ下の妹さんのいるところへ。4・5頭一緒の放牧地で、奥様が「どの子かわかります?」と問題を出された。すかさず主人が挑戦。その答えを聞きながら、「絶対その子じゃないって!」と心の中で反論。私が「この子だ!」と思った子がやはり妹さんだった。今年のチビちゃんもそうだけれど、ユメママの子達はみんな目がそっくりである。なんとも愛らしくて優しい瞳。それにしてもユメママには娘さんが多い。今まで生んだ5人のうち4人が女の子。現在、大久保厩舎所属のミキノパーミスト君だけが男の子。ユメママは女の子が好きなのかな(笑)?

そして一番上のお姉さん、フォアボードちゃんに会いに。現役を引退して生まれ故郷に戻った彼女は、今お腹に赤ちゃんがいる。先日も彼女のファンだという方が、訪ねていらしたそうだ。放牧地に入り、奥様が「フォア〜」と声をかけられると、ゆっくりと私達の方に向かってきてくれた。そして私の手に鼻を乗せてくれた。「あ、この匂い!」と思わず声に出てしまったほど、フォアボードちゃんと☆の匂いはそっくりだった。失礼とは思いながらくんくんと何度嗅いでも、本当に同じ匂い。奥様に話すと、「同じ牧場にいてもそれぞれ匂いが違うのに不思議ですね」とおっしゃていた。来年にはユメママはもういないけれど、今度はお姉さんが牧場さんの期待を背負って、素晴らしい子達を送り出してくれるに違いない。「来年には☆はおばさんね」という奥様に思わず笑い出してしまった。

最後は本当に貴重な体験。既に離乳が終わった当歳馬ちゃんたち8人が過ごす放牧地へ連れて行って下さった。そこには、まあそれは可愛らしい皆さんが。鎌田スタッドさんのお馬さん達は皆「もくし」をしていない。それが一番自然だからだそうだ。とねっこちゃんたちも、みんな自然の姿で過ごしていた。奥様に続いて放牧地に入ると、「あそんで♪」とばかりに周りに集まって来てくれた。こんな風にとねっこちゃんたちに囲まれたことがない私は、あまりに幸せにしばし呆然。しかもお父さん達の名前を聞くと、テイオー・タキオン・バブ・ウィーク・ホワイトマズル...。ため息ばかりである。しばらくするとお互いにかけっこしたり、珍しい訪問者にいたずらしたりとワンパクぶりを発揮しだした。その姿に囲まれて、こんなに貴重な経験をさせてくださったことに心から感謝感謝であった。

気がつけばお邪魔してすでに3時間。帰る前に、先日☆が大好きなお兄さんと走ったときの写真をお見せした。奥様もご主人も、感慨深げに見てくださった。「大事にしてくれて本当にありがとうございます」と奥様が言ってくださったが、それはそのまま私の気持ちである。☆が運んでくれたこんなに素晴らしいご縁。☆が大切な家族を一つプレゼントしてくれた。最後まで諦めずに☆を育ててくださった鎌田スタッドのみなさま。一生懸命愛してくださった奥様やお嬢さんたち。この方達のお陰で、私は大切な娘を授かったのだから。

今度は来年の5月。「馬運車、いつでも出しますよ!」という奥様の嬉しいご提案に心から感謝し、真剣に今度は☆と一緒に来たいな思った。


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