|
2003/09/14(日)
アザミの花
|
|
|
◆『 薊【あざみ】の花のすきな子に
一 憩【やす】らひ ――薊のすきな子に――
風は 或るとき流れて行つた 絵のやうな うすい緑のなかを、 ひとつのたつたひとつの人の言葉を はこんで行くと 人は誰でもうけとつた
ありがたうと ほほゑみながら。 開きかけた花のあひだに 色をかへない青い空に 鐘の歌に溢れ 風は澄んでゐた、
気づかはしげな恥らひが、 そのまはりを かろい翼で にほひながら 羽ばたいてゐた……
何もかも あやまちはなかつた みな 猟人【かりうど】も盗人もゐなかつた ひろい風と光の万物の世界であつた。』 (立原道造「優しき歌」から) (花言葉:触れないで)
|
|
|
|