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2006/08/01(火)
TEXAS/安藤裕子
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求める空想や理想の先には、何もなくていいんだ。 ただ、規則正しい寝息が部屋の空気を真空にしていく明け方、僕は洞窟の中の深海魚みたいに小さな窓から星を見る。 思い描かなかった幸せを、人はどうして幸せと呼ばないのだろう。目標達成とかなんとか…そんなものがなんだというの。空想や理想の先には、何もなくたっていい。
ヘッドフォンなしで歩く夜道、涼しい風と、どっかの家のカレーのにおい。通り過ぎるゆらゆらゆれる携帯電話の画面はホタルみたいで、いろんなことを思い出す。
八月。また八月が来た。今度は逃げない。僕はここだよ。
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