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2006/07/18(火) こだわりと理由
さて、いよいよ仕込みまで10日です。ドンです。朝から麻布見学、打ち合わせ、稽古、小道具製作と忙しい日々です。

小道具作りって、なんで必要なのか。めんどくさいし、なきゃ似たようなの買えばいいし、客にはわかんないし。19世紀のアイルランドを再現してどうすんの?もっとやることあるんじゃないの?・・・とか思ったら終わりです。大道具の方が派手に見えるけど、実際、稽古場で芝居を助けるのは小道具なんです。

大道具はどこでも劇場はいるまでは仮のものが多いし、照明が当たらないとわからない部分も大きいのですが、小道具は直接ふれるもの。使うもの。その出来不出来で俳優の演技に大きく影響します。(と、ドンは思ってます。)もちろんそりゃ只の布が俳優の演技によって絹のローブに見えることもありますよ。でもそれはごく限られた名優ができること。研究生じゃまだまだ、実際にやってもなかなかできない事が多いんです。お茶一ついれる、飲むにしても、中身のあるなしじゃ感覚は違う。その感覚の違いにどれだけ繊細になれるか。西洋の作品なら、台本に書かれた動作のひとつひとつに、日本のそれとは違う意味がないかどうか、その文化をどう受け止め、どう伝えるか。その足がかりのひとつである小道具は大事なんです。コーヒーを飲むシーンなのに、湯のみで稽古していたら、お茶の呼吸になってしまいます。わざとそうするなら、そこからまた新たな演出やキャラクターの造形が必要になります。逆に、一度でも本当にコーヒーを入れて芝居をすれば、それはものすごく気持ちを創る上でも役に立ちます。

それを思うから裏方は、きちんと資料に当たって、できるだけ正確な、それでいて演出意図に沿うような道具を用意するんです。只いわれたから、言われないからいいや、じゃないんです。そういう細かい気遣いが出来るのがプロの仕事じゃないかと。まだまだドンはそこまで行き着けませんが、研究生でも、本公演でも、小道具(それだけじゃないけど)は特に気を使ってやるべきだと思ってます。

多分世界中に沢山いる演劇好きや、役者志望、演出志望は、自分が世界で一番センスがあるし、やればできると思ってるし、今の売れてる奴なんかは大したことなくて、表現について誰よりも深くわかってるし、今はまだできなくても、誰よりも光るものはもってるし、精神的にも一番だと誰もがうぬぼれてる。自分も含めてその勘違いの自信に支えられてやってる。

でも役者や演出は、やればできるじゃなくて、やるんだし、センスがあるからわざわざ誇示しなくてもいいし、今の売れてる奴より売れちゃうわけだし、表現についてわかっているから説明しなくていいし、光るものがあるからどんどん成長するわけだし、精神的に誰とも比べなくていいはず。ま、これは理想。

そりゃ色々人間関係や性格とかあるんだろうけど、まず、優先順位を考えなきゃなあ、と思うこの頃。だってやってないのにやってます、なんていえないもん。やってるって、稽古にでたからやってます、なんて言えないさ。小道具それっぽいの用意しました、じゃだめだし。こだわるなら理由もちゃんとなきゃね。

研究所の入所式で毎年安井先生がおっしゃるのですが、「色々生活もあるだろうけど、今年一年、何が一番大切かを考えて行動しなさい。」これ、堕落しそうなときに思い出します。それから舞台部の浩三さんが「他に何も見えなくなるくらいに打ち込む時期があるかないかで絶対に後が変わってくる。そこまでやれた奴は何か違う。」

弱い人間ですから、ふらふらすることもあるんですけど、やっぱりどんな事があっても、この仕事はプライド持って、下じゃなくて上をみながら歩いていきたいもんです。ていうか、突っ走りたい。


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