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2006/03/28(火) 紙一重
更新できずにいてごめんなさい。さすがに修了公演ともなると、まったく余裕がなく、せっかくのこの場も活用できなくて、稽古場リポートを期待して頂いた方には申し訳ないです。今日はもう査定。結果がでました。

男性2名、女性2名が進級です。半数になりました。厳しい結果です。それでもこれで終わりになるのではなく、また来年も査定はあるのです。14名で始まった17期も、10名がいなくなってしまいました。この14人だって、その前に何百人という俳優の卵の中から選ばれてきたわけです。

大抵の人は何故落ちたのか、うかったのか、理由を知りたがるでしょう。なにがダメだったのか、と。

ダメだから落ちるのでもなく、優れているからうかる、とも言い切れない。それは今この時点での評価。オーディションと一緒です。うかった人は、落ちた人のおかげでうかった、というのが正確なような気がします。修了公演は本当にいい舞台でした。みんながそれぞれ個性をもって、チームが代わるとまるで違った舞台が現れました。誰一人欠けてもああはならなかった。たしかに査定は発表会の出来できまりますが、いい芝居をするためには、全員がいい芝居をしなくてはなりません。上手い下手ではなく、組み合わせや、運や、与えられる役や、スタッフとの関係など、本当に様々な事が絡み合って決まる事。芝居は一期一会。いつみるかで評価も変わってくるかもしれません。ほんの紙一重。運で決まると言っても過言ではないかもしれません。

査定に受かった事が、その人にとっていいか悪いかはまだわかりません。ただ、今この時の劇団俳優座からの評価というだけなのです。

そうはいっても査定をされる方にとっては、それだけとは言い切れません。自分の全てを出してやってきたわけですから。それだけとは思いたくとも難しい。プロだってなんだって、感情があります。感情を扱う仕事だけに、ずっと苦しいかもしれません。常にダメだしをされる世界に身を置いていても、こうして査定されるのはきつい。どんなに自分を信じていてもつらい。文句のひとつも言いたくなるのをぐっとこらえて、次のチャンスを待つしかない。あるいは別の世界を目指すのかもしれない。どんなことがあったって、世界は回るし、時間は止まらないし、お腹はすくし、人は死ぬし、生れるし、自分がいても変わらない世界と、自分がいなきゃいけない世界があるのです。

そして演出家はその世界をしっかり見詰めなくてはいけません。苦しくても寂しくても、誰かは事実を見ていなくてはいけないのです。世界にたった一人になっても、自分だけは目を開けていないといけない。目が痛いよ。

たかが査定。きっと簡単に暗記できるくらいの少ない人数しか興味のないこと。今日のテレビドラマよりも興味の薄い事。でも今ここにも確かにドラマがあるんです。

長い人生、広い世界です。やれる事、やりたい事はたくさんあるし、まだまだ何かが待っているはずです。

残り少ない弥生の月を見詰めながら、またの一年のための準備をしよう。菜の花咲きはじめる季節はもうすぐですから。


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