ホームページ最新月全表示|携帯へURLを送る(i-modevodafoneEZweb

2005年8月
前の月 次の月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
最新の絵日記ダイジェスト
2017/09/30 自分が強くなるしかないのよ
2017/09/16 もう踏んだり蹴ったりじゃー
2017/08/30 54kg台に突入・・・
2017/08/28 どうもまるで信用されてないらしい・・
2017/06/22 むえき!

直接移動: 20179 8 6 5 4 3 2 1 月  201610 9 8 5 4 2 1 月  20158 6 4 3 月  201412 11 10 9 8 7 6 5 2 月  201311 5 4 3 1 月  201212 11 3 2 1 月  201112 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  201012 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200912 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200812 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200712 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200612 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200512 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200412 11 10 9 月 

2005/08/16(火) 『菊人形の呪い』
子供の頃の体験とは恐ろしいものである。
大人のように、逃げ道を作るのがまだうまくないから…。

小さい頃、大阪に身内がいて、家族で遊びに行ったりしていた。
まだ就学前の、3つか4つ、5才にはなっていなかったぐらいの頃、親戚一同で大阪に行き、
大きな公園へ連れられていったことを覚えている。
近くに野球場がある公園だったと思うが、花が咲き、整備された様は今でいうテーマパークのような
感じだったろうか、しかしその公園の名前はわからない。
親戚のお姉さんに抱っこされて写っている写真が、たぶん今も残っているはずだが、
手を引いてもらってずっと歩き続けるには、公園が大きすぎたか、私自身が小さすぎたか、
とにかくやたら広く感じたことははっきり覚えている。

そのとき、強烈に心に焼き付けられた光景がある。

「ほら、あれ見て。矢がいっぱい刺さっちゅう。」

そう言われて反動的にお姉さんが指差した方を見てしまった。
とたんに私は、素直にかつ不注意に、言われるまま見てしまったことを後悔した。
そこには、、

大きなガラス張りのショーケースのようなものがあり、その中に、
等身大に近い大きさ(に見えたが実際はもう少し小さかったのかもしれない)の、
若武者と、手綱を引かれた牛か馬の人形が飾られていた。
たぶん有名な実在人物だったのだろうと思う。その辺の土地に関係する人物かもしれない。
それだけなら別にどうということはないのだが、その若武者も牛だか馬だかも、
全身にいっぱい矢が刺さっていたのだ。
そして、これは私の記憶違いかもわからないが、そのショーケースは、自転していた気がする。

その光景を見たとたん私の中の、氷の中に閉じ込められていた何かが弾けた。

 こわいっ。

見るんじゃなかった。
でも、見てしまった。これはもう消せない。ものすごく怖かった。そのあと、
その公園内のすべてのものが、すりガラス越しの景色になってしまい、何を見てもうわの空、辛かった。

ちょっと見ただけですぐに視線を逸らした私に、お姉さんは、ほら、ちゃんと見てみ、
などと興味をわかせようとする。興味がないから見ないんじゃない。こわいから見たくないんだ。

3つか4つの子供である。怖くないわけがないじゃないか。
幽霊とか妖怪とかの類じゃないから怖くないと思ったのだろうか。
そんな甘い判断してからに。怖がるか怖がらないかは私が決めるんだ。
見せる前に口で説明してから「見る?やめとく?」って確かめるぐらいの配慮をしてくれよ!

少し大きくなってから、あのときの衝撃を思い出すたびに、そんなことを思ったりした。
もっとも教えられなくても、偶然視線が向いて、見てしまっていた可能性は十分ある。
ほんとに、なんであんなものが飾られていたのだろう。
もっと華やかで、楽しいものを飾ればいいのにと、そんなことも思ったような気がする。

その光景は帰ってからも常に私の心を怯えさせ、ほんの瞬間忘れても、
すぐにまた浮かび上がってきて私を悩ませた。
あの恐ろしい姿を思い出す瞬間の絶望感と言ったら…。

高知に帰ってきてからも、しばらくはその悪夢が続いた。
断続的に脳裏に浮かび上がってくるあの光景。
なんとか自分の中から消えてくれないかと願う日々が、ずいぶん長く続いたように思う。

あれは、あの人形は誰だったのだろうと、いまでもふと思う。

『菊人形の呪い』好きな曲である。和嶋氏が作った曲。
毎年秋になると展示される菊人形は、ヘンにバランスの崩れた体型と、
どこを見ているか判らない表情が子供心にめちゃくちゃ怖かったのだそうである。

私が見たあの人形は菊人形ではなかったが、同じように等身大サイズの人形がからんでいることで、
曲を聴いたとたんすぐに思い出した。

高知では菊人形を展示する慣わしなどは、あまりなかったのではないかと思うし、
私もまだ実物の菊人形たるものを見た記憶がない。従って、菊人形にまつわる私の実体験は、
間接的なものしかない。

恐怖の若武者人形体験からもう少し成長して、それでも小学生だったが、
友達数人と、冬休みに地元の映画館へ『犬神家の一族』を見に行った。

映画そのもののインパクトは凄かったし、菊人形の首が生首に変わっているあの場面も寒気がしたものだ。
というか、実はそのとき私は、映画を見ているうちにだんだん本当の寒気と頭痛がし始め、
そのあと熱が出て3日間、寝込んでしまったのだ。今思えば、インフルエンザだったのだろう。
もちろん映画のせいではなく、ましてや菊人形の呪いでもないだろうが、えらい目に会ったことは確かである。


 Copyright ©2003 FC2 Inc. All Rights Reserved.